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消費者契約法第4条による取消
「不実の告知」とは何か
事実と異なること、つまり客観的に真実または真正でないことを告げることです。
告げ方は口頭の他書面等によって消費者が認識できる方法であればよいとされます。
また、事実でないことを事業者が認識している必要はありません。
不実の告知で問題になることを、以下に整理致しました。
A 主観的評価を告知している場合 → 不実の告知にはなりません。 <例> 靴屋の店員が「この靴はイタリア製なので、ヒールが硬い」と勧めたが、実際はさほど 硬くない。 魚屋に「この魚は新鮮だよ」と言われ買ったが、大して新鮮とも思えない。 不動産の広告に「居住環境に優れた立地」とあったが、さほど優れているとは感じない。 弁護士が「必ず裁判に勝ちます」と言ったが、裁判に勝てなかった。など・・・・ B 債務不履行の問題である場合 → 不実の告知にはならない つまり、告知の内容が債務の内容になっていてそれが履行されない場合です。 <例> 建築請負契約で、基礎材は杉とする説明されたが、実際は米栂であった。 〇〇日に届けると言われ契約したが、その日に届かなかった。 海際のホテルに泊まれるというので契約したら、実際には街の景色しか見えなかった。 C 動機に関わる事項(契約の目的物に関しない事項)を告知している場合 → 平成29年6月3日改正で不実の告知の対象に含まれました。 <事例> 『 シロアリ駆除業者が無料で点検しますと訪問して来て、床下を点検して貰うと「柱の一部が シロアリにやられています」と言われた。 そこでシロアリ駆除を依頼した。 しかし、後になって調べて見ると、シロアリは初めからいなかった。 』 ↓ これは、いわゆる点検商法と呼ばれるものです。 業者は、シロアリ駆除契約の勧誘に際し、シロアリがいないのに「シロアリがいる」と 告げている。 ↓ 「 シロアリがいる」は、消費者がシロアリ駆除契約の締結をするか否かの判断に通常影響 を及ぼすものですが、シロアリ駆除契約の内容や条件に関するものではなく、契約締結 の前提となる事実つまり動機に関わる事項の不実の告知です。 ↓ しかし、シロアリがいなければ薬剤を散布しても駆除という目的は達成されない訳ですから、 「役務の用途」について事実と異なることを告げていると考えることが出来ます。 判例には「消費者契約法第4条1項1号にいう重要事項は本件商品自体の品質や性質、 対価等のほか本件建物への本件商品の設置の必要性、相当性等が含まれるものと 解すべきである」として、「床下がかなり湿っている。このままでは家が危ない」と説明した ことにつき重要事項に当たるとして不実の告知による取消を認めたものがありました。 (東京地裁平成17年3月10日判決) なお、改正消費者法(平成29年6月3日施行)の同法第4条5項に次の3号が新設されました。 「 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが当該消費者の生命、 身体、財産その他の重要な利益についての損害又は危険を回避するために通常必要 であると判断される事情」 (消費者契約法第4条5項3号) 「重要事項」に動機部分に関する事由が付加された結果、上記のようなシロアリ点検商法 で不実の告知による取消が認められました。 同様に、原野商法(市場流通性の認められない山林を売却可能性があるからと勧誘されて 測量契約と広告掲載契約を締結した場合)、 悪徳リース提携商法(電話回線がアナログからデジタルに変わるので今までの電話が使えなく なりますと勧誘されて高額な通信機器のリース契約を締結した場合)なども 不実の告知により取消が認められることになりました。 |
D 特定商取引法によっても取消が出来る場合があります。 特定商取引法第6条1項6号では、 → 売買契約又は役務提供契約の締結を必要とする事情に関する事項の不実の告知に ついて取消が出来るとされています。 ↓ 契約の締結を必要とする事情には、動機が含まれます。 ↓ 上記シロアリ駆除契約は訪問販売であり特定商取引法による取消が当然出来ます。 E 不実の告知が同時に錯誤、詐欺に該当する場合があります。 「シロアリがいる」ことはシロアリ駆除契約の動機に関わる事項であり、この動機は表示されて おり役務の内容になっています。 ↓ 錯誤による無効(民法第95条)も主張出来ます。 また、業者の欺罔行為により錯誤に陥り契約したとして詐欺による契約の取消 (民法第96条)も主張出来ます。 |
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