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悪徳商法に絶対負けない消費者になる方法
連帯保証契約の締結の媒介
私がずっと以前から大変気になっている問題があります。 第三者の詐欺により結ばさ
れた連帯保証契約が、消費者契約法により取消せるかという問題です。
商品をクレジットで購入する際、販売店から連帯保証人を付けるように云われて、債務
者が連帯保証人を探してくることがあります。 この場合、連帯保証契約の当事者はクレ
ジット会社と連帯保証人ですから、連帯保証契約のお膳立てをした債務者は第三者という
ことになります。
これまでは、債務者の欺罔行為により連帯保証人になった場合、連帯保証人が連帯保
証契約を取消せるのは、クレジット会社が悪意又は重過失の場合に限られていました
(民法第96条第2項)。
しかし、今では消費者契約法に関する判例の蓄積も進んでいます。
債務者が消費者契約法第5条の受託者等に該当するとされれば、クレジット会社が債務者
の詐欺を知らなくても連帯保証契約の取消が出来ることになります。 ただ判例としては
確立していないのが悩みです。
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さて、近時の判例では、クレジット会社は販売店と加盟店契約を締結しており、クレジット
契約締結の媒介を販売店に委託しているという事実関係を認定しています。 つまり、販売
店は消費者契約法第5条の受託者等に当たるとして、消費者は消費者契約法により直接
クレジット契約を取消して既払クレジット代金の返還をクレジット会社に請求出来るとしてい
ます。 参考 → 大阪簡裁平成16年1月19日判決
この判決は、改正割賦販売法を先取りした画期的な判決と云えます。
ところで、この考え方を連帯保証契約に敷衍出来ないものかと思います。
クレジット会社が自分で連帯保証人を探すということはしません。 クレジット会社の依頼
により連帯保証人を探して来て連帯保証契約締結に向けて尽力するのは専ら債務者です。
クレジット契約締結の媒介委託関係を認めるなら、連帯保証契約締結の媒介委託関係も
認めていい筈です。
クレジット契約書は連帯保証契約書を兼ねており、クレジット会社は連帯保証人への意思
確認の後に決裁をするだけで、それ以外の連帯保証契約締結に必要な事務は販売店に任
せているという事実関係は、クレジット契約締結の媒介委託関係があれば通常認められると
思うからです。
それならば、連帯保証契約締結の媒介を委託された販売店は、さらにそれを債務者に再委
託していると考えても全く不自然ではありません。 再委託された人は、消費者契約法第5条
の受託者等に当たります。
私が、泣く連帯保証人を救える消費者契約法という山口信恭松江地裁判事の記事を見た
のは、消費者契約法が施行された平成13年頃でした。
記事 → http://www.j-j-n.com/opinion/past2003/010702.html
この中で、「消費者契約の仲立をした人が嘘をついた場合、契約を取消せるとなっています。
もともと代理店が詐欺商法をした場合を念頭にしたものですが、特に限定はないのでどんな
契約にも使えます。・・・・・ 私の考えは新しい考えなので、裁判官が理解するには時間が掛
かるかもしれない」と書いています。
連帯保証契約締結の現場をよく分析すれば、債務者が受託者等に当たると考えられて
然るべきです。 一日も早い判例の確立を願って止みません。
行政書士田中 明事務所