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     適合性の原則って何?

  アメリカ発のサブプライムローン問題が、世界中を100年に一度あるかないかの金融危機
に陥れています。 日本が一番被害の少なかったからといって喜んではいられません。 
グローバル化した経済の下、日本にもジワジワと影響が出始めています。

 ところで、日本で金融商品を横断的に対象とする金融商品取引法が施行されたのは、
平成19年9月30日のことです。

 この法律は従来の証券取引法を改正したものですが、同法の適用外にあった外為証拠金
取引やファンドなどを対象に取り込み、金融先物とか抵当証券などそれぞれの業法で規制さ
れていた金融商品についてもこの法律に一本化されました。
 穿った見方をすれば、日本が金融後進国だったことが幸いして最小限の被害で済んだの
です。

 今回の金融危機は、サブプライムローンを混ぜ込んでリスク分散を図った証券化商品に原因
があります。   しかし、 ピンチはチャンスなりと云うではないですか。  改善すべきところは
改善して、より安全な金融商品に進化させて行けばいいのです。
 結局、貯蓄から投資へという流れは変わらないでしょう。
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 さて、前置きが長くなりました。
適合性の原則というのは、金融業者が一般投資家に金融商品を販売する際の説明義務に関
する規制の一つです。 尤も従来の証取法でもこの原則は取り入れられています。 
同法第43条では「顧客の知識、経験及び財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘・・・・」
を行わないよう業務を営まなければならないとされています。

 金商法では第40条にそのまま移行されていますが、証取法と違う点は、財産の状況の後に
「金融商品取引契約を締結する目的」が追加
されていることです。
 これは、顧客の投資目的に適合した金融商品の勧誘を行えということですから、例えば元本
保証の安全な金融商品を希望している顧客に対してファンドなどのハイリスクな金融商品を勧誘
すれば違法になるということです。
                       
  最近、インターネットから金融商品取引の為の口座開設を申込むと、必ず顧客の状況につい
てアンケート方式で尋ねて来ます。 そして、試しに投資目的を元本保証タイプにしてFXを希望し
たりすると、断わって来たりします。  現場では、このように適合性の原則を口座開設という初期
段階からこの原則を適用してコンプラスアンスの強化を図っているようです。 
                       
ж

  金融商品取引法が金融商品の基本法とすれば、平成13年4月から施行されている金融商品
販売法は、金融業者の説明義務と損害賠償責任を具体的に規定した法律です。

 さて、金商法の施行に伴い、金販法も当然改正されました。
従来、説明義務のある重要事項として「元本欠損が生じる恐れ」が規定されていましたが、そこ
「元本欠損や当初元本を上回る損失が生じる恐れを生じさせる取引の仕込みの内の
重要な部分」が追加
されました。
 これからは単に元本割れのリスクがあるという説明では足りず、どのような仕組みの為元本割
れのリスクが生じるのかを説明する必要があります。  そして、その説明は適合性の原則により
顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品の購入目的に照らして顧客が理解出来る方法及
び内容が伴っていなければなりません。




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