トップ>  エッセー集パートT題目  >    第三者による傷病にも健保は利きます     サイトマップ    

                   内容証明郵便でブレイク !        行政書士田中 明事務所

                 
                      エッセー集 パートT             → HPトップ
                <悪徳商法に絶対負けない消費者になる方法>

    第三者による傷病にも健保は利きます

  喧嘩で殴られたとか、交通事故での負傷とか、スキー場で衝突されたとか、要するに第三者
の行為が原因で発生した病気や怪我を、「第三者による傷病」といいます。 当り前ですが、この
場合でも負傷者は加入している健康保険の適用があります。 つまり、医療費の自己負担は3割
でよく、残りの7割部分は加害者が負担することになります。 診療を受ける際には、「第三者に
よる傷病届」というものを、医療機関に提出する必要があります。 この届があって初めて国や
健康保険組合は、7割負担分を被害者に求償出来るのです。 即ち、第三者に故意又は過失が
ある場合には、加害者に損害賠償請求権が発生しますから、先に国や健保組合が7割負担分を
支払っておき、後でこの権利を代位して加害者に求償するのです。
                         ж
 さて、被害者と加害者が示談をして、加害者がさっさと損害賠償金を支払ってしまった場合は
どうなるのかです。 被害者は損害賠償金の中から、7割負担分を医療機関に支払う必要があり
ます。 結果として、医療費を全額負担したことつまり健康保険が適用されないのと同じことになり
ますが、一般的にはこれは稀なケースでしょう。
                         
 次に、加害者がまだ未成年の場合、その親は国や健保組合の求償権の行使に応じなければ
ならないのかです。 子供に責任能力(12歳位の能力)があれば、親に監督責任が問われるよう
な場合を除き、子供に支払義務が発生します。 親が代位弁済するという合意をすれば、親に
求償出来ますが、親には代位弁済を拒否する権利があります。
 加害者の親は子供が事故を起こしたとなれば、動顛していますから、健康保険組合から送られ
て来た代位弁済の誓約書などにうっかり印鑑を押してしまうことはあり得ますので、通知が届いた
ら専門家のサポートを受けるべきです。
                        ж


 また、第三者による傷病は加害者の故意又は過失により発生した損害ですから、被害者は損害
賠償を加害者に請求出来ます。 損害賠償の範囲は、第三者の行為と相当因果関係にある損害
ですから、医療費の自己負担分や慰謝料がそれになります。
 ただし、非常に稀なケースですが、正当防衛により責任を免れることがあります。
例えば、高1の息子が学校で同級生と喧嘩して相手を負傷させたという場合です。 一般的には
喧嘩両成敗といって、中々正当防衛にはならないのですが、口論中に突然殴り掛かって来たので
止むを得ず防衛の為殴り返したというのであれば、急迫不正の侵害に対する最小限度の防衛行為
といえますから、相手の親が慰謝料を請求して来たら正当防衛を主張すべきです。 金額がそれ程
大きくなければ、弁護士に依頼して訴訟に勝ったとしても弁護士費用に大半が消えてしまうので、
訴訟を起して来ないはずです。

 ところで正当防衛が成立する場合、加害者に損害賠償責任がないのですから、健康保険組合は
求償が出来ません。
 しかし、学校内での第三者よる傷病の場合、学校が加入している日本スポーツ振興センター
(独立行政法人)の災害共済給付が受けられますで、被害者には医療費の自己負担分と見舞金が
支払われることになります。
 同センターは、第三者の過失で生徒が負傷した場合には、求償権を取得しますが、生徒間の喧嘩
では取得しません。 
 このように、第三者が関係する事故の場合は、他の保険も絡んで結構複雑ですから、相手から
請求が来たら簡単に応じないでまずは専門家に相談して見るべきなのです。 
          



                    行政書士田中 明事務所