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悪徳商法に絶対負けない消費者になる方法
絶対破綻するマルチ商法
まず、事例から入ります。
『Aさんは、ある説明会で最初に50万円相当の化粧品を買って組織の会員になってもらうが、
後はAさんが知人を4人連れて来ればよく、入会の勧誘は私たちがするからと説明され、また
Aさんの印税収入は月40万円以上に、間違いなくなると言われた。 帰りに、アメリカでは、
売上がぐんぐん上がっており、加入者の勧誘は簡単に出来るなどと書かれたチラシを見せられ、
それを信じて、Aさんは本部と直接50万円相当の化粧品を買う契約をし、組織の会員になった。
しかし、Aさんは入会しそうな知人を見付けられず、騙されたと思っている。』
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知人を4人連れて来るだけで、後は黙っていても月40万円入ってくるとは、これが本当なら
誰でもやりたくなるでしょう。 しかし、うまい話には、必ず落とし穴があります。
こんな商法をマルチ商法といい、必然的に破綻するのが分っている商法なのです。
仮に知人の4人が会員になったとして、その知人も50万円の化粧品を購入し、それぞれ4人の
会員を集める必要があります。 こうして、連鎖的に会員を増やしていくことが印税収入の前提
条件になるわけですが、会員になる人には限度がある為、結局破綻するのが必然なのです。
つまり、投下した50万円も回収出来ずに行詰ってしまうのです。 それだけでなく、被害者が
同時に加害者となり、知人との人間関係もぶち壊してしまいます。
これが、マルチ商法の実態です。
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特定商取引法では、マルチ商法のことを連鎖販売取引と呼んでいます。
当然、クーリング・オフが認められ、書面交付から20日以内です。
さて、こんな悪質なマルチ商法に対して、消費者がクーリング・オフでしか対抗出来ないとは、
少し甘くはないのか・・・・・。 実は、ねずみ講については、全面禁止なのです。
ねずみ講とマルチ商法は、前者が金銭配当組織なのに対して、後者は商品流通組織で
あるという違いがあるものの、破綻が必然な構造という点では全く共通しています。
マルチ商法を前面禁止出来なかったのは、さまざまな形態がある為、構成要件的に対象を
捉え切れなかったからと言われています。 その代り、特定商取引法で行為規制を厳格に
定めています。 その結果、「実質的に禁止」に近い形になっているのです。
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それは、と゜ういうことなのでしょう・・・・・・。 ここでは、不実告知・事実不告知に関連して
述べます。
法34条は、具体的に不実告知・事実不告知の対象事項を列挙しています。
@商品、性能その他内容に関する事項
A特定負担に関する事項 →組織加入時の商品の購入代金、入会金、登録料など
B解除に関する事項
C特定利益に関する事項 → 勧誘の相手方以外の後続参加者が支払う金品の配分
D連鎖販売業に関する事項であって、連鎖販売取引の相手方の判断に
影響を及ぼすこととなる重要なもの
さて、先の事例で、Aさんは「印税収入は月40万円以上に、間違いなくなる」と、告げられ
ています。 これが、まさにCに関する不実告知なのです。
また、マルチ商法がリクルートしうる人員に限界のあることは、客観的な事実であり、それを
告げなければ、Dに関して事実不告知に該当することになります。 つまり、「自分が泣くか、
多くの他人を泣かせるか、そのいずれかになる」などと、告げなければ、法34条違反を
免れないということです。
これを正直に告げられる業者などはいないはずだから、結局マルチ商法は消えて無くなる
だろうと、立法当時は考えられたのです。 これが「実質的に禁止」の意味です。
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2004年には、特定商取引法の改正があり、連鎖販売取引に取消権を認められました。
統括者・勧誘者に不実の告知又は故意の事実の不告知があった場合、連鎖販売業者に
不実の告知があった場合です(法第30条の3)。 ただし、取消が出来るのは、新会員の
無店舗個人に限られます
さて、勧誘者とは統括者から勧誘を委託された者をいいますが、経済産業省の通達では
会員CがDさんを説明会に連れて行き、統括者に紹介したという場合に、会員Cは勧誘者に
なるとされます。 ですから、Cから不実の告知があり、誤認して契約した場合で、統括者の
社員も同席していて黙って会話を聞いていたという場合には、Dさんは嘘に気付いてから
6ヶ月以内なら取消を統括者に主張出来るのです。
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しかし、マルチ商法は消えないどころか、被害は増加を辿っています。 これらのマルチ
商法は違法に営業していることは、ほぼ間違いないのです。
法34条に違反した業者は、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はその併科に
処せられます。 マルチ商法の業者をどんどん告発して、最終的に絶滅させるべき悪徳商法が
マルチ商法なのです。
行政書士田中 明事務所