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                   内容証明郵便でブレイク !        行政書士田中 明事務所

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                悪徳商法に絶対負けない消費者になる方法
  

      連帯保証人は時効の援用で対抗せよ!
   
  サラ金や法律事務所から古い忘れていた債権の請求を受けることがあります。
サラ金がなぜ時効債権を諦めないのかと言えば、まだまだ時効制度について知らない人が
多く、巧妙なトークを掛けるとついつい支払ってしまう債務者や連帯保証人がいるからです。
                     
  さて、サラ金の債権は最終弁済日から5年で消滅時効となり、判決や支払命令があると
10年に延長されます。
債務者が時効完成後にうっかり一部弁済してしまうと、債務者はもう消滅時効の援用を
信義則上出来なくなります。

  しかし、連帯保証人がいる場合は事情が違ってきます。
連帯保証人がサラ金からの督促で時効完成後に一部弁済してしまった場合、
法律関係はどうなるのでしょうか・・・・・。
                            ж

  まず、この一部弁済は、時効の利益の放棄であり、民法第148条の承認に準ずるとされ
ます。 承認の効果は相対的です。 つまり、主たる債務には影響しません。
ですから、債務者は堂々と消滅時効の援用が出来ることは言うまでもありません。
                    
  さらには、判例では、連帯保証人は主債務の消滅時効を援用出来るとしています。
(大阪高裁決定平成5年10月4日、東京高裁判決平成7年2月14日)
  つまり、連帯保証人の一部弁済は連帯保証債務の時効中断事由になっても、主債務の
時効中断事由ではないということです。
                     
  即ち、連帯保証人が時効完成後に一部弁済してしまったとしても、債務者又は連帯保証人
は主債務の消滅時効を援用して債権の消滅を主張出来るのですから、サラ金の督促なんて
屁みたいなものです。

  連帯保証債務は、主債務に対して附従性があります。 主債務が時効の援用で消滅すれ
ば連帯保証債務も消滅します。
これでサラ金の請求も、内容証明郵便1本で撃退出来るのです。
                            ж

  次に、連帯保証人が時効完成後に一部弁済し、まもなく亡くなった場合はどうでしょう。
債務者の配偶者や子が連帯保証債務を相続しますが、相続人が主債務の消滅時効を
援用しても信義則に反しないというのが判例です。 
  ですから、相続人は主債務の時効を援用して連帯保証債務の消滅を主張出来るのです。
相続放棄をしなくても何ら問題ないわけです。

  このように連帯保証人がうっかりサラ金のトークに騙されて一部弁済をしてしまった後、
他界したとしても相続人は少しも慌てることはないのです。

          承認には相対的効力しかない。 これがキーワードです



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