トップ>  エッセー集パートT題目  >     悪徳提携リース商法に騙されるな!         サイトマップ    

                  内容証明郵便でブレイク !          行政書士田中 明事務所

                      エッセー集 パートT             → HPトップ
                悪徳商法に絶対負けない消費者になる方法

          
     悪徳提携リース商法に騙されるな!
    
  リース契約というのは、事業者つまり商人が利用するものであり、非商人つまり消費者が
利用する意義はほとんどありません。 しかし、最近では消費者が悪徳な業者に騙されて
リース契約を結ばされるケースが増えています。

  最近特に目立つのは、電話機・電話回線の提携リース商法です。 これは点検商法の
一種でNTTの代理店を装って突然訪問し電話回線を点検後に、IP電話用モデムのリース契約
を強引に勧誘します。 一般の人には最近の電話回線事情なんて難しくて分からないですから、
業者からもっともらしく話を聞かされるとついそうなのかと信じてしまうのです。
  しかし、後になって事情に詳しい知人などに聞いてみて、設置する必要もなかったと
気づくのです。
              参考 → ISDNADSL、光ファイバー、IP電話

  経済産業省も通達を出しています。 この通達では、訪問販売の業者がリース契約も
代行している場合、購入目的が家庭用・個人用に限りクーリング・オフが出来、それは
リース会社にも対抗出来るとしたものです。
              通達の内容 → 電話器等リース契約  経済産業局
                            
  しかし、リース契約が商行為となる場合、この通達では救済されません。
                           ж

  ところで、商人かそれとも非商人かは、中々判断に迷うことが結構あります。 その結果、
目敏い悪徳業者はターゲットをそのような自営業者にシフトして来ているのです。

  例えば、Aさんが自宅兼用の賃貸マンションの一室で、エステ業を開業しているとします。
エステは一人でやっており、簡易ベットがひとつと化粧品類がある程度である。 Aさんは、
商人と言えるでしょうか・・・。

  まず、Aさんは商法第4条第2項第1号の「店舗その他これに類似する設備により物品の
販売をなすを業とする者」ではないと、私は考えます。 
とすれば、Aさんは擬制商人ではないことになります。
                           
  次に、エステ業は、商法502条にある「客の来集を目的とする場屋の取引」になるか・・・。
エステのお客との間には請負又は労務に関する契約があるだけで、施設の利用を目的とした
契約はないと、私は考えます。
 よって、結局第502条但書により商行為とはならないことになります。

  つまり、Aさんは商行為を業となす者には該当せず、本来の商人でもないことになります。
ですから、訪問販売でIP電話用モデムのリース契約を結んでも、商行為とはならず
クーリング・オフが出来るというのが、私の見解です。

 結局、商行為の立証責任は業者にあります。 要は、主張すべきは主張して、後は裁判
しかないという闘う姿勢を見せることが、一番の悪徳業者対策ではないでしょうか・・・・・。
                            ж

  また近時では、リース契約に表見代理を使った判例が現れています。
リース契約では、販売店に不実の告知、詐欺などがあっても、リース会社に
支払い停止の抗弁が出来ません。 割賦販売法の適用がないからです。

  しかし、この判例は実質的に支払い停止の抗弁を認めたに等しいという意味で、
画期的な判決なのです。  では、リース契約での表見代理は、どんな理屈で認められた
のでしょうか・・・・。 
      長崎簡易裁判所平成17年12月2日判決の内容は、以下の通りです。

  この判決では、リース契約について、申込の勧誘、契約内容の説明、契約書の作成、
リース物件借受書の作成及び授受等を全て販売店が行っていた場合、リース会社と
販売店は一体性、業務提携関係があると考えられ、また 最終的意思決定以外の全ての
行為については、事実行為について代理することを許容していたと解するのが相当だ
としています。

  こんな関係にある販売店に嘘を付かれて契約させられた消費者は、 表見法理により
契約の取消をリース会社に主張出来ることになります。 リース会社が販売店の詐欺に
ついて善意(つまり知らなくても)対抗出来るのです。

  民法の根拠条文は、第110条です。 つまり、代理権踰越による表見代理です。
この表見代理は基本的代理権がある場合ですが、販売店にリース契約に関する
事実行為については基本的代理権があるとしたのです。
                          
  リース会社としては、販売店との業務提携関係を否定するでしようが、この判例に
ある通り、リース会社は意思決定以外の全ての事実行為を販売店に委託している実態
がある以上、裁判ではもはや通らなくなったのです。
                  参照 → 悪徳提携リース商法に負けない方法



                    行政書士田中 明事務所