トップ>   エッセー集パートU 題目  >    進化し続ける特定商取引法   サイトマップ       

                   内容証明郵便でブレイク !    行政書士田中 明事務所

                      エッセー集 パートU          → HPトップ
                <縮こまるな、大いなる志を抱いて道を拓け!>


       
 進化し続ける特定商取引法

  特定商取引法は新型の悪徳商法が現れる度に改正され規制対象に取り込みつつ進化を続けている法律
です。   特定商取引法は消費者に伝家の宝刀クーリング・オフを授ける法律として知られますがもともとは
訪問販売法と呼ばれていて、平成13年6月1日に中身変わらないまま内職・モニター商法が追加された時、
名称も特定商取引法に変更されたのです。    制定当初(昭和51年)の訪問販売法は訪問販売、通信販売、
連鎖販売取引(マルチ商法)の3形態が規制対象でしたが、その後に電話勧誘販売、特定継続的役務提供販
売(エステ・外国語会話教室・学習塾・家庭教師派遣)、業務提供誘引販売取引(内職・モニター商法)の順に追
加されて行ったのです。
                           
  平成16年11月11日の改正特定商取引法では販売目的を隠して公衆の出入りしない場所に呼び込ん
勧誘する行為が罰則を伴った禁止事項となりました。
先のアポイントメント・セールスの定義(販売意図を告げずに消費者を呼出す場合)と微妙に違います。   
罰則があるのは公衆の出入りしない場所に呼び込むようなアポイントメント・セールスなのです。
  結局、クーリング・オフが出来ることは何れも同じですが、公衆の出入りしない事務所だった場合には民法
90条の公序良俗に反し無効となる他、業者は6ケ月以下の懲役又は100万円以下の罰金という罰則の対象
になるということです。

  平成21年12月1日には改正特定商取引法と改正割賦販売法の両方で近年にない大改正がありました。
  最大の目玉は指定商品・指定役務制を廃止、個別クレジット契約のクーリングオフ、不実の告知によるクレ
ジット契約の取消などです。

  改正点の詳しい説明については下記をご参照下さい。
  http://lantana.parfe.jp/melmaga/break76.html
                                                        
 指定商品・指定役務制の廃止は大変画期的なことで、これまで指定商品ではないということでクーリングオ
フが出来なかった被害者の救済が可能となっています。

  しかし、悪徳業者というのは法律の網の目を掻い潜って新手法を編み出して来ます。   被害者救済商
法というのがあります。  これは被害者をさらに狙って二次被害を発生させる悪質度の高い商法です。   
騙す方は前と同じ業者の場合もあれば別の業者場合もあります。   別な業者が出て来るということは購入
者名簿が悪徳業者の間で出回っているからです。  名簿の勝手な流通という個人情報保護法違反行為が堂
々となされているのがこの業界の特徴でもあるのです。
  最近では「お持ちの未公開株や社債を買い取ります」と電話を掛けて来るのも悪徳な被害者救済商法です。   
実際は後日高値で買取るからと云って新たな未公開株や社債を買わせるのが狙いです。

  少し前に流行った悪徳商法に会員権商法があります。   旅行サービス、レジャー施設、ホテル、商品購
入その他が割引特別料金で利用出来るというクラブ会員権を売るように装ってクレジットでパソコン資格ソフト
などを買わせ、購入者はクラブを利用して見て利用価値がほとんどないことを知らされます。   
  2年くらいすると今度は別な業者から電話が掛かって来て、「あのクラブは生涯契約だから解約すると200万
円以上の違約金を取られます。  60万円支払えば解約手続きを代行します」と持ち掛けて来ますが、実はこ
れは全くの嘘の話なのにすっかり騙されて消費者金融から60万円を借りさせられて騙し取られてしまうという二
次被害が発生してしまいます。

  内職商法の被害者に電話を掛けて来る支援金支給商法というのは、「支援振興協会から支援金や補償金
が支給されるので内職商法の損害を補填出来ます」と勧誘し、制度利用の前提として般旅行業務取扱主任
者の教材をクレジットで買わせますが、国家試験の合格率が13%位で簡単でな結局補償金の支給は得られな
いことが後で知らされます。
  内職商法(特定商取引法では業務提携誘引販売という)はパソコンの資格を取ったら役務を継続的に委託す
るという条件でパソコンなどの教材を買わせておいて、資格そのものを中々取らせないか取れたとしても業務の
委託を殆どしないというものです。
  内職業者は業務委託の前に破産してしまうことが多く、その場合は業務委託の履行不能によりクレジット会社
に支払い停止の抗弁を主張出来るのですが、破産管財人が支払い停止の抗弁をしてくれる訳もなく、自分で動
けない消費者はクレジット代金が自動引落され続けるという悲惨なことになります。
                          
  これまでは業者に詐欺があった場合、売買契約の取消をクレジット会社に抗弁出来でも既払いクレジット代
金の返還までは認められていませんでした。
  しかし、平成21年12月1日から改正特定商取引法と改正割賦販売法が大改正され、個別クレジット契約のクー
リングオフ、不実の告知によるクレジット契約の取消及び既払いクレジット代金の返還請求が可能となっています。

 今回の改正はクレジット会社に大変厳しい反面、消費者保護が厚くなっています。
個別クレジット契約を締結することは現金で買うより高い買物になりますが、騙されたという時に被害を少なくする
という一種の保険のような機能があると感じている次第です。
                                          2011.3.4


                     行政書士田中 明事務所