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  日本の戸籍制度  壬申戸籍   改製原戸籍   戸籍の附票  本籍と筆頭者 

 日本の戸籍制度

  日本に戸籍があれば日本人であり、戸籍がなければ外国人とされます。  つまり、戸籍は日本人
であることの公証手段であり、また相続人関係や家族関係についての公証手段でもあります。  
  戸籍謄本等を入手さえすれば、公証実務は非常に迅速に進んで行くのです。   その意味で日本
の戸籍制度は利便性のある合理的な制度と言えます。
  しかし、こんな戸籍制度は日本、韓国、台湾だけにしか存在しません。

 では、戸籍制度のない国では相続の時に相続人関係をどうやって公証するのでしょう。 
アメリカでは出生、結婚、死亡などが発生した場合、郡の役場に届出ることになっています。  亡くな
った日本人の相続人にアメリカ人がいる場合には、出生証明書・婚姻証明書を郡役場に発行して貰っ
てこれで公証します。
  これらの公文書には出生に立会った医師の署名、病院名、生れた時刻とか、結婚式を挙げた教会
の牧師の署名とか日本の戸籍より詳しい個人情報が記載されています。

  壬申戸籍

  戸籍制度が出来たのは、憲法や民法なんかよりずっと早くて1871年です。  この時で出来た戸籍
を、いわゆる壬申( じんしん)戸籍といいます。   
 今と違い戸主中心の戸籍で、やがて旧民法が出来ると「家」制度の根幹を成しました。   富国強兵を
急ぐ明治政府にとって戸籍制度は有難い制度だったと思います。   徴兵や徴税や義務教育に必要
な国民の情報をこれで略完璧に把握出来たのですから。
  しかし、この壬申戸籍には戦後になって大問題となる記載がありました。   「エタ」(被差別部落出身)
という身分差別の記載があったのです。   壬申戸籍は戦後も除籍・原戸籍として役所に保管されて
いましたが1970年4月から遂に永久封印となりました。 
  各役所で一斉にダンボールに詰められ、法務局の倉庫に送られたのです。   そして、今でも歴史家
が歴史資料として見たいと請求しても許可しないそうです。
                           
  現在の戸籍制度はこの壬申戸籍と比べると似て非なるものです。   筆頭者も本籍もただのイン
デックス
ですし、出生地の記載も市区町村までです。   編成も「家」単位から、夫婦と子の二代まで
になりました。   これを三代戸籍の禁止といいます。
  除籍・原戸籍の差別記載はすべて塗抹されています。   人権保護という観点から、戸籍・除籍簿の
閲覧は何人も禁止です。
  なお、相続手続きに必要な戸籍謄本等については、本人は本人の直系尊属・卑属を遡って請求出来
ます。
      ※ しかし、配偶者の祖父母や孫の戸籍謄本等を遡って請求出来ません。
        つまり、妻は夫の戸籍謄本等、夫は妻の戸籍謄本等しか請求出来ません。

   
戸籍の情報が結婚や就職などに差別的に利用されないよう、窓口で厳しいガードを掛け
  ているのです。




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