行政書士もぐもぐ......自分流情報発信 第15号
平成16年2月23日発行
今回の目次
□ 祖母の連帯保証債務と相続放棄
□ 常にパイオニア精神を持って...その2
□ 祖母の連帯保証債務と相続放棄
手紙に余寒の候などと書く季節なのに、横須賀地方は4月中旬のような暖かさです。
でも、三寒四温といい、寒い日はまた戻って来るでしょう。
昨年は、3月中旬でもカシミアのオーバーを着て、横浜を歩いていましたから。
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さて、開業1年も過ぎると、弁護士でも見解の分かれるような難問の案件が舞込むことが
あります。相続放棄という一見簡単そうに思える実務にも、難しい法律問題が隠れている
ことがあります。
突然来ますから、情報のネットがないと慌てることになります。
日頃から、弁護士を始め専門職とのネットワーク構築は、不可欠です。
数人の弁護士と関係を築いていると判例を調べてくれたり、意見を述べてくれます。
それらを総合して、まとめを依頼者に通知すれば、自分の任務を果たしたといえます。
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では、どんな問題だったのかといいますと、昨年、3ケ月の間に祖母と父が続けてなくなり、
相続したわけですが、今月になって突然、祖母の根保証契約から発生した債務約3億円
の催告状が銀行から来たというのです。
これは、まず相続放棄だと誰もが思うでしょう。しかし、相続人はそんな債務があるなんて
知る由もありませんから、銀行口座を解約しています。
さらには、相続した借地権の底地を買取り、古い家は壊し、新築のアパートに建替えています。
ただし、その資金は妻宛の生命保険金(遺産には含まない)から出していますか、
遺産を処分したことにはなりません。口座の現金も残っています。
といことで、まだ、相続放棄の可能性はあるとも言えるのです。
次に、相続放棄が出来たとして、借地権はどうなるのかがややこしいのです。
混同により消滅した借地権は、相続放棄により復活するのか、しないのか・・・・・。
弁護士の見解は、どちらの見解も成り立つというものです。
判例がないらしく、最終的に裁判所の判断になるとのことです。
ある弁護士に至っては、借地権は競売されて、相続人は建物を撤去し、
土地も明渡すことになるなどと、まことに恐ろしいことを言いました。
法理論的にあり得るとしても、実際にそんなことが、許されるのでしょうか・・・。
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日本は、連帯保証王国です。
知人の連帯保証人になった為に、持家を売却したという話はよく聞きます。
しかし、本件のケースは、簡単にこれと同じに考えられないのです。
遺族は、連帯保証債務の存在を全く知らなかったのであり、しかも
保証債務は20年も前に遡る祖母の根保証契約から発生しているのです。
結局、連帯保証債務が当然に相続されるとする法解釈がそもそもおかしいのです。
遺族は知らないのですから、遺産の処分に近いことをしても、責められないでしょう。
これらとのバランスの中で、裁判所としても、
例外的に相続放棄を認めるべしというのが、私の結論です。
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こんな連帯保証制度なんか、アメリカにはないのだそうです。
日本の銀行は、この制度に甘んじて経営努力を怠り、
今日の停滞を招いたと言えなくもないのです。
こんな銀行と、本来責任を負うべきでない遺族の生活の安定のどちらを保護するのが
正義か、それは明らかです。裁判所の判断を待ちたいものです。
□ 常にパイオニア精神を持って...その2
先日、東京家庭裁判所へ行って来ました。中央官庁が集中する霞ヶ関にあります。
南に日比谷公園があり、隣りは高層の東京弁護士会館で、
北側には、東京裁判所、法務省が立並んでいます。
親切に教えてくれるということで、家事相談というものを受けてみました。
これだけの環境ですから、さぞかし立派な法律家が現れるだろうと想像していたら、
60台前半のオバチャンで、全く話が見えません。
話を少し聞いてから、曰く「駄目モトでも、申述をすれば・・・」です。
そんな当り前のことを聞くのにここまで来たのではないのだぞ・・・・と、
思わず叫びそうになりました。こんな木で鼻を括るような態度の後、
日比谷公園の森を眺めながら、ふと思いました。
小泉改革の締めくくりは、司法改革だ・・・・・と。
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実はここまで出て来たのは、依頼者が東京家裁に行って見たものの、
全然埒が明かなかったと言うので、この眼で確かめて見ようと思ったのです。
聞くに勝る酷さです。
私が新人行政書士に言いたいことは、開拓者になって欲しいということです。
何を開拓するのかですか・・・・?
それは、行政書士に相応しい民事法務を開拓するのです。
弁護士のやっている法律事務は、訴訟が中心で、そこまで行かないものは
かなり弾かれている可能性があります。
そこに、行政書士の開拓すべき鉱脈が眠っているはずです。
そして、こちらから多くの役立つ情報を発信している人のみが、
その鉱脈を探知できるのです。
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