行政書士もぐもぐ......自分流情報発信 第5号
平成15年7月3日発行
今回の目次
□ 弁護士報酬の仕組みを分析する
□
内容証明郵便について
□
弁護士報酬の仕組みを分析する
今回はお約束通り、弁護士報酬の仕組みについて、
事案に即して眺めて見ます。
[ある事案]
山田弁護士は、中野さんからある物件の購入について相談を受けた。
その物件とは、テナント用賃貸マンション2部屋(売値2,000万円、
倒産した会社の所有物件で、銀行その他の抵当権がいくつも付いていた。
そこで中野さんは山田弁護士に、売買契約の交渉及び締結、
契約書の作成、抵当権の抹消を一任し、
無事当マンションのオーナーとなった。
中野さんはオーナーとなったものの、賃借人テナントの林商事が、
賃料月10万円を10カ月も滞納し、再三の催告にも応じて来ない。
そこで、中野さんは林商事との賃貸借契約を解除することとし、
再び山田弁護士に契約の解除と保全手続き、立退きの交渉を依頼した。
山田弁護士は、内容証明郵便で解除を通知し、訴訟ではなく調停により、
林商事の立退きの同意を取り付けた。
滞納賃料100万円の方は、提訴したが林商事に資産がなく
回収出来なかった。
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これからいよいよ、報酬の算定です。
弁護士会には、まだ目安となる報酬規定が撤廃されずにあります。
弁護士の報酬は、調停とか内容証明郵便といった定型的なもの以外は、
経済的利益に対して何%というように計算します。
そして、依頼時に支払う着手金と、終了時に支払う成功報酬である
報酬金の二本建てになっています。
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まず、経済的利益ですが、
マンションの売買契約締結交渉では、売買代金2,000万円がそれです。
次に、立退き交渉では、
各部屋の時価+敷地共有部分時価×3分の1ですから、2,200万円です。
では、着手金を計算して見ます。
・売買契約締結交渉・・・・・・・2,000万円×1%+3万円=23万円
・立退き交渉・保全手続き(借家非訟事件)・・・・・
・・・・・・・(2,200万円×5%+9万円)×2分の1=59万5,000円
・明渡の調停・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20万円
・未払い賃料請求訴訟・・100万円×8%=8万円
→10万円(最低保障額)
計 112万5,000円
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次に報酬金を計算して見ます。
・売買契約締結交渉・・・・・・・2,000万円×2%+6万円=46万円
・立退き交渉・保全手続き(借家非訟事件)・・・・・
・・・・・・・(2,200万円×10%+18万円)×4分の1=59万5,000円
・明渡の調停・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20万円
・未払い賃料請求訴訟・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0円
・契約書作成費用(定型的)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20万円
計 145万5,000円
着手金と報酬金の合計は 258万円 となります。
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報酬額表の計算式に則って算定すると、これだけの金額になります。
さすがに高いなというのがまず来る印象です。
では、本当に弁護士はこの金額を請求するのでしょうか・・・・・。
久保内弁護士によれば、実際はこの通りには請求しないそうです。
先の事案では、重複している部分があることを考慮して、
その6割程度だそうです。
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さて、本案件で契約締結交渉・契約書作成の部分は、
行政書士にとって大いに参考になるところです。
行政書士には、昨年の7月が代理権が付与されています。
売買に関しては、争いがあるわけではないので、
当然行政書士でも契約代理が出来ます。
そして、私は中野さんの委任があれば、
売買の締結交渉も出来ると考えます。
この契約の部分での、弁護士の報酬を見ますと、
着手金が23万円、報酬金が46万円、契約書作成代が20万円で、
合計が89万円です。
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もし、行政書士が受任したら、報酬はどれくらいが妥当なのだろうか・・・。
行政書士に契約代理権が付与されてまだ1年ということもあって、
まだ私は他の行政書士の報酬表に、お目に掛かったことがありません。
参考までに私の場合を申しますと、現在次のように決めています。
基本料金 50,000円 手続き報酬 契約金額の2%
ただし、最低額を5万円とする。
先の事案では、50,000円+2,000万円×2%=45万円 になります。
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まあ、弁護士の5割ですから、まあまあではないて゛しょうか・・・・・。
もっとも、弁護士が契約書作成代は重複しているとしてカットすれば、
69万円となり、6割5分に縮まります。
もちろん単純な比較は禁物です。
一口に契約の交渉といっても、簡単なものから複雑で高度のものまで
かなり幅があります。
いま言えることは、本件のように比較的簡単で、かつ争いのないもの
については、行政書士に依頼すれば、
これだけ経費節減にはなるということです。
交渉をするほどではない、協議程度の契約代理ならさらに安くなります。
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では、弁護士の報酬はどうしてこれだけ高くていいのか・・・・・。
弁護士の本来の専門領域とは、争いのあるような複雑な案件であって、
それを交渉により本人に有利な契約の締結に導き得るだけの専門性が
弁護士にはあるからだと、私は推測します。
契約の分野で、弁護士と行政書士は交差しているところがありますが、
棲み分けは出来ていると思います。そして、共存共栄は可能だと信じます。
要は、争いがなく、かつ複雑な交渉を必要としないものは、
初めから行政書士で十分なのです。
□ 内容証明郵便について
行政書士なら普通誰でも初めに取り組むのが、内容証明郵便です。
争いにまで至っていない段階から、いろいろな使い道があるのに、
まだまだ知られていないのが内容証明郵便です。
最近、電子内容証明郵便というのが出来て、
パソコンで打ち込むだけで送れるようになりました。
内容証明郵便は決して万能ではありませんが、
債権の回収や損害賠償の請求にも使います。
行政書士は、もう代書屋ではありません。
相手方と激しい主張の対立がない場合、代理人として示談も出来ます。
ですから、請求金額の回収に成功したら、
その金額の5%くらいは成功報酬として戴いてもいいはずです。
それでも、訴訟により回収するのに比べたら全然安いものです。
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さて、まだまだ利用される余地が沢山残された内容証明郵便の使い方・
書き方について、新たにメルマガを創刊して載せて行くことにしました。
タイトルは、 『内容証明郵便でブレイク !
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