インターネット行政書士のフロンティア戦略 第96号
平成24年5月15日発行
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。
今回の目次
□ 連帯保証人が二人いる場合
一人に対する催告はもう一人に対して効力を生じるか
<事例研究>
主債務者A・・・法人、経営破綻して事務所を閉鎖
債権者B・・・信用保証協会、 連帯保証人はCとD
Aに対する勝訴判決が平成13年9月20日(DI対し送達後2週間経過)に確定している。
BはまずCに対し連帯保証債務の履行の催告を内容証明郵便により平成23年7月
31日に送達させた後、今度はDに対し支払督促を申立て平成23年1月10日に送達さ
れた。
Dは「平成23年9月20日に主債務の消滅時効が完成後に支払督促が届いたので、
主債務の時効を援用出来る」と主張しています。
しかし、債権者Bは「Cに対する催告を以ってDに対する催告があったとして、支払
督促はそれから6ヶ月以内に申立ているから主債務の時効は中断している」
と主張しています。
さあ、どちらの主張が正しいのでしょうか。
結局、民法458条で民法434条を準用 (連帯保証人と主債務者の関係には連帯保証
債務の規定が準用される)していること、これと民法148条(時効の相対的効力)との関係
が問題なのです。
つまり、民法153条(催告は6ヶ月以内に裁判上の請求など法的手続きをしないと時効
中断効が生じない)による法的手続きは、催告をした連帯保証人ではないもう一人の
連帯保証人に対し法的手続きをした場合でも、催告から6ヶ月以内に支払督促が
なされていれば催告の時から時効中断効が生じるのかという問題です。
判例がありました。
「 民法458条は民法148条の例外として、連帯保証人に生じた事由の効力が他の
連帯保証人に対しても及ぶことを規定している。
Cに対する催告は民法458条、434条によって、Dに対する催告としての効力も有する
から、これから6ヶ月以内に債権者が東京簡易裁判所に支払督促を申立したことに
よって、Dに対する時効が中断していることが認められる」
(東京簡易裁判所平成24年4月19日判決)
結局、民法147条の「請求」と民法434条の「履行の請求」の「請求」には、催告が
含まれると解するのが裁判実務なのです。
つまり、「催告」はそれだけでは裁判上の請求でもなんでもありませんが、それから6ヶ月
以内に裁判上の請求をすれば催告時から時効中断効が生じることから、暫定的な請求
であるとして含めるのが妥当な論理解釈であるということのようです。
連帯保証人が二人いる場合には、自分のところに催告の内容証明郵便が来ないで
突然支払督促が来た場合、時効完成前にもう一人の連帯保証人に催告が送達されて
いる場合が予想されますので、安心は出来ないということになります。
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