インターネット行政書士のフロンティア戦略  第72号   
                 平成21年8月14日発行 
    民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。

                  今回の目次
          □ 土地の実勢価格
           ☆ 固定資産税評価額以下という地方の惨状
           ☆ 不動産鑑定士と実勢価格



  □  土地の実勢価格
         
    ☆ 固定資産税評価額以下という地方の惨状
 相続した三浦市の土地売却を頼まれて、ここ4ヶ月間は毎日不動産の勉強でした。  
そして、知ったことは地方における恐るべき実勢価格の実態です。

 不動産仲介業者の査定では、当初の坪単価が相続税評価額の1.2倍の31万円でした。
しかし、4ヶ月間営業をやって見て、個人からも業者からも反応が全くないのです。
ここに来て遂に坪単価を21万円に引下げました。

 これは、固定資産税評価額より7%も下回ります。
ここまで下げても売れるかどうか全く分りません。

 急遽、業者にも当って見たところ、坪16万円で買うと提示した住宅建設会社があり
ました。 坪16万円というのは、固定資産税評価額より3割も低い価格です。
業者の話では、銀行がこの価格まで下げれば融資するとのことである。

 銀行は近隣の実勢価格なども調査した上でこれが妥当な買取価格だと判断したので
しょう。  
 35年のベテラン不動産仲介業者の人も驚くような銀行の貸し渋りです。
バブル期のようなジャブジャブ貸すという時代は、とっくの昔話になったのです。
                       
 地元の友人の不動産仲介業者からも、固定資産税評価額の何割減でやっと売れた
という話を聞きました。 これが地方の今の実態なのです。

 相続税評価額の1.2倍などという査定は、横浜や東京の都市部で通用しても
三浦市のような田舎では全く通用しなくなっているのです。
 固定資産税評価額以下での取引が当たり前だとすれば、今の固定資産税評価額は
高すぎるのではないかという考え方も成り立ちます。
 
 不動産の正常な価格とされる公示価格と実勢価格が著しく乖離している地方の実態を
どう考えたらよいのでしょうか。


    ☆ 不動産鑑定士と実勢価格
 一般の人が不動産売買する場合、不動産鑑定士が関係することはまずありません。
不動産鑑定士に鑑定評価を依頼するのは、裁判所とか銀行或いは大企業です。

 不動産鑑定士の鑑定評価は、裁判所では競売不動産の売却基準価格の決定に、
銀行では抵当不動産の担保価値の把握に、企業では投資物件の妥当性判断に
利用されています。

 また、毎年1月1日の全国の標準的な土地(更地)の地価公示価格(公示地価又は
単に時価という)は、不動産鑑定士の鑑定評価に基づき土地鑑定委員会が決定します。

 国土交通省の見解では、公示地価とは「一般の土地の取引に対して指標を与える
とともに、公共事業用地の取得価格算定の基準となり、また国土利用計画法に基づく
土地取引の規制における土地価格算定の基準となる等により、適正な地価の形成に
寄与することを目的として、土地鑑定委員会が毎年1回、標準的な土地についての
正常な価格を一般の方々にお示しするもの」としています。
                       
 しかし、今の地方の実態はどうでしょうか・・・・。
公示地価が国の認めた適正な地価であるというのに、これを基準にした価格で売ろう
としても買い手が付かないのです。 なぜこんなことになったのでしょうか。

 不動産鑑定士は鑑定評価をする際、対象不動産の周辺の価格情報を収集します。
価格情報には実勢価格も含まれ、地元の不動産仲介業者に不動産鑑定士が聞きに
来るというのはこれなのです。

 不動産鑑定士はこの価格情報から難しい分析手法を駆使して鑑定評価を導きます。
公示地価もこのように算定されているのです。

 にも拘わらず、三浦市の郊外のようなところでは、実勢価格が公示地価より著しく低い
という事実をどう考えればいいのでしょうか。 
 依頼者は業者の提示買取価格を見てそれは安過ぎませんかと聞いて来ます。
それに対しどう説明したらいいのか悩んでしまいます。
                       
 近年、土地の取引価格情報が下記土地総合情報システムで見られます。
http://www.land.mlit.go.jp/webland/top.html

 番地までは表示されていませんが、取引の相場を推し量る上で大変参考になります。
三浦の土地も結局、近隣の実勢価格にほぼ近い金額で売買が成立しました。
                      


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