インターネット行政書士のフロンティア戦略 第66号
[ 旧タイトル 行政書士もぐもぐ....自分流情報発信 ]
平成21年3月26日発行
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。
今回の目次
□ 代理権の範囲が不明確な場合の権限
☆ 保存行為の具体例
☆ 管理行為の具体例
□ 代理権の範囲が不明確な場合の権限
☆ 保存行為の具体例
代理人の権限は本人が授権した範囲により決まりますが、
その授権した範囲が不明確な場合があります。
しかし、その場合でも代理人には民法で最低限の権限が認められています。
つまり、保存行為と管理行為の権限については、
代理人であるというだけで当然に認められているのです。
民法第103条では、「権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を
有する」と定めています。
1号 保存行為
2号 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内においてその利用
又は改良を目的とする行為
また、民法第252条但書では、各共有者の権限として保存行為を定めています。
さて、この保存行為については法文上で定義されていない為、
判例や学説により財産の現状を維持する行為と解釈されています。
財産の現状を維持する行為であれば本人や他の共有者の不利益とならないので、
権限の定めのない代理人でも保存行為の権限はあって然るべきだと考えたからです。
保存行為の具体例としては、次のものがあります。
・消滅時効の援用・・・・時効の援用により財産の流失が避けられて、
財産の現状は維持されるからです。
・時効の中断、期限の到来した債務の弁済、未登記不動産の登記
・家屋の修繕(部品の購入、業者への依頼)、腐りやすい物の処分、
・持分権に基づく妨害排除請求(大審院大正10年7月18日判決)
・持分権に基づく損害賠償請求(最高裁昭和51年9月7日判決)
・共同相続人の一人が単独でする登記簿上の名義人に対する所有権移転登記の
全部抹消請求(最高裁昭和31年5月10日判決)
・相続財産管理人→相続財産に関する訴えに対する応訴(最高裁昭和47年7月6日判決)
・不在者財産管理人→不在者を被告とする建物収去・土地明渡請求事件の控訴・上告
(最高裁昭和47年9月1日判決)
☆ 管理行為の具体例
次に、民法第103条2号では利用行為と改良行為が代理人の権限とされます。
利用行為 → 目的物を変更しない範囲で利益を図る行為をいいます。
例 賃貸借契約の締結、 金利を付けて金銭を貸付ける
現金を定期預金にする
改良行為 → 使用価値・交換価値の増加を図る行為をいいます。
例 賃貸借契約の解除 (最高裁昭和39年2月25日判決)
使用貸借の解除 (最高裁昭和29年3月22日判決)
家屋に造作を施す、 無利子債権を有利子債権にする、
抵当権の抹消
利用行為と改良行為を、特に管理行為と呼ぶことがあります。
なお、目的物の形状や性質を変えてしまう行為を変更行為といい、
民法第103条2号には含まれませんから、本人の委任状が必要になります。
また、共有者の一人がするには共有者全員の同意が要ります(民法第251条)。
例 田を宅地にする、 共有山林の伐採、共有地全部への地上権設定
代理人には任意代理人と法定代理人があります。
法定代理人には例えば不在者財産管理人があります。
不在者財産管理人には行政書士でもなれます。
そして、保存行為や管理行為に限っては裁判所の許可なく不在者財産管理人の
権限で出来るということです。
また、高齢者の財産管理という新しい分野もあり、代理業務は将来性のある
フロンティアと考えられます。
代理業務をやるにあたり大前提となる知識を、今日は整理して見ました。
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