インターネット行政書士のフロンティア戦略  第64号  
          [ 旧タイトル 行政書士もぐもぐ....自分流情報発信 ]   
                          平成21年1月15日発行 
    民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。

                  今回の目次
          □ 時効について
             ☆ 複雑な現在の時効制度
             ☆ 連帯保証人の一部弁済と時効援用



     □ 時効について

       ☆ 複雑な現在の時効制度
  時効という言葉は誰でも知っていますが、いざ自分の債権や債務の時効になると
自信をもって答えられる人はそんなに多くないと思います。
結構複雑で侮れないのが時効制度です。

  時効期間を見ても以下の通りこんなに種類があるのです。
まず債権の消滅時効は10年ですが、これが商事債権になると5年になります。
また商事債権であっても裁判になって確定した判決があると10年になります。

  その他、時効期間が3年、2年、1年、6ヶ月の短期時効というのがあります。
例えば、6ケ月で時効・・・・小切手債権
 1年で時効・・・・ホテルや旅館の宿泊料、飲食店や料理店の飲食料、タクシー代
            カラオケ代、レンタル料、貨物の運賃、タレントや俳優の報酬
  2年で時効・・・・売掛債権(会社や商店の販売代金)、理髪店の散髪料、
            クリーニング代、塾の月謝、月給や賞与、弁護士の報酬
  3年で時効・・・・医師の報酬、工事請負代金、不法行為による損害賠償債権
  5年で時効・・・・サラ金やクレジット会社のローン債権、信用保証協会の求償債権
            家賃や地代、租税債権
                
  これだけ債権の種類によって消滅時効が違うと債権管理が大変です。
こんなことで、やっと法務省も2年後を目途に時効制度の改正に着手しました。


        ☆ 連帯保証人の一部弁済と時効援用

  当事務所で最近多いのは、信用保証協会から請求を受けた連帯保証人からの
相談です。 大概の事案は、
「信用保証協会の代位弁済日から裁判上の請求がないまま5年以上経過している。 
連帯保証人として一部弁済をした期間があるが時効援用は出来ますか」というものです。

 ※ 信用保証協会の代位弁済は、主債務の時効を中断し改めて時効が進行を開始され、
    信用保証協会の求償権の消滅時効は、代位弁済日から5年です。

          
参考 → 昭和42年10月6日最高裁判決


  結論から云いますと、内容証明郵便で消滅時効の援用をすれば連帯保証債務は
消滅します。
                        
  連帯保証人が一部弁済をしても時効援用が出来ることの法的根拠については、
あまり知られていないようですので、以下に整理して書きます。

イ まず、連帯保証人の一部弁済の法的意味について
  もし債務者が債権者に一部弁済すれば、債権の時効中断が生じ、連帯保証債務の
 時効も中断します。  

   しかし、連帯保証人が一部弁済をしても主債務の時効は中断しません。 
 その法的根拠は、民法148条が規定する時効中断の相対的効力
 (当事者及びその承継人の間にだけ生ずる)
にあります。

ロ 次に債権者が債権を時効中断させる為には、主債務者又は連帯保証人に裁判上の
 請求その他法的手続きをする必要があります。  内容証明郵便での請求は催告といい
 それだけでは時効が中断しません。

   主債務者に対して裁判上の請求をすることで連帯保証債務の時効が中断する
 法的根拠は、民法第457条第1項です。 

   また、連帯保証人に裁判上の請求をすることで主債務の時効が中断する法的根拠は、
 民法458条(連帯保証の特則)で民法第434条を準用している点にあります。 
   民法第434条では、連帯債務者の一人に対する請求は他の連帯債務者に対しても
 効力を生じると規定されているからです。
                          ↓
   連帯保証人に対する催告や連帯保証人による一部弁済には、民法第434条が準用
 されないのです。

   結局、イとロから、債権者が債務者又は連帯保証人に対して裁判上の請求をして
 いない場合は、たとえ連帯保証人が一部弁済をしていても、連帯保証人は主債務の
 消滅時効を援用出来るという解釈が成り立つことになるのです。

   主債務者と連帯保証人の関係を整理しますと、
  ・債権者が主債務者に裁判上の請求 → 連帯保証債務の時効も中断します。
  ・債権者が連帯保証人に裁判上の請求 → 主債務の時効も中断します。
  ・主債務者が一部弁済 → 連帯保証債務の時効も中断します。
  ・連帯保証人が一部弁済 → 主債務の時効は中断しません。
    ということになります。



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