インターネット行政書士のフロンティア戦略 第155号
令和2年5月22日発行
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。
今回の目次
□ カーリースの契約構造について
リースと云えば事業者が節税目的で導入するものというイメージがありますが、
カーリースに限って云えば、「新車の軽自動車に月々定額1万円(税別)から乗れる」
「車の基本費用が全部コミコミ」という広告の文言に誘われて、消費者の間でも結構
利用されています。
消費者のカーリースのメリットは、新車に7年間乗って返却したい、税金や車検そ
の他経費の支払事務が一元的にリース会社に任せたい、頭金は払いたくないなど、
クレジット契約では得られなかったやや特異な志向性を満たしてくれるからなのでしょう。
さて、先の広告の文言はカーリースの契約構造を正確に反映するものとは云えず、
販売店から詳しい説明を聞かないと一般の消費者に誤認を与え兼ねません。
つまり、「月々定額1万円」とは年2回のボーナスを併用し、かつ任意自動車保険料を
含めなかった場合に限られます。
また、「基本費用が全部コミコミ」というのは、それらの費用を負担するのが消費者
であることに変わりはなく、ただリーズ料の支払総額にそれらの費用を含めて置いて、
リース会社に支払代行の一元的な管理を任せるという意味に過ぎません。
リース契約はいったん契約すると中途解約が認められず、リース会社に瑕疵担保責任
を追及することも出来ず、大変やっかいな契約です。
クレジット契約に適用される割賦販売法のような法律がまだ未整備で、消費者保護に
弱いのです。 その結果、リース契約の説明をろくにしない販売店もあるようです。
そこで、消費者が契約締結後に誤認に気付いて後の祭りとならないように、
消費者が知っているべきメンテナンスリースの契約構造のポイントについて、以下で
整理して見ました。
1 設定残価とメンテナンスリース
消費者が利用するカーリースは、通常メンテナンスリースです。
そして、設定残価とはリース期間が満了して返却する際の下取り価格のこと
です。 当然ですが、設定残価を支払えば自分の車にすることが出来ます。
メンテナンスリースのリース支払総額は、車両代の他、メンテナンス費用(車検
代、定期オイル交換代、返却時のリサイクル費用)、税金(自動車取得税、自動車
重量税、自動車税)、自賠責保険料を含み、設定残価を控除した金額です。
7年後にリース会社がこの残価で車両を下取.るという契約の為、設定残価分の支
払いが要らない分オートローンより割安に見えますが、リース手数料(金利)の計算
では設定残価に対しても掛るので、オートローンより支払総額は割高になります。
2 任意自動車保険料と月額リース料
年2回のボーナスを併用せず任意自動車保険料をリース支払総額に含めた場合
は、広告の「月々定額1万円」どころか恐らく3倍近くに跳ね上がります。
なお、任意自動車保険の加入については、消費者の任意に任せているところと
リース契約条項で強制的に任意自動車保険料をリース支払総額に含ませていると
ころがあります。
リース会社が締結する任意自動車保険契約というのは特約を全部付けてリース期
間分一括払いの高額な保険料(約62万円位)になりますから、ますます月々定額1万円
ではとても済まなくなります。
3 予定走行距離と査定価格
予定走行距離を長くすれば査定価格が下がるという関係にあります。
予定走行距離を超えて走行した場合、違約金を取られますし、
車の返却時にリース会社の査定価格より設定残価が高い場合、差額を支払う必要
があります。
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