インターネット行政書士のフロンティア戦略 第154号
令和2年4月1日発行
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。
今回の目次
□ オーバーシュートは日本でも起こるか
新型コロナウイルスの拡散に伴い広まったカタカナ言葉が4つあります。
「クラスター」(集団)、「パンデミック」(世界的大流行)、「オーバーシュート」(感染
爆発)、「ロックダウン」(都市封鎖)の4つです。
2月頃は発生源の武漢を中心に中国で猛威を振るい、中国の各都市でロック
ダウンが強行された結果、3月中旬から感染者数が8万台にとどまり、収束が見ら
れたとしてロックダウンが解除されています。
それと同時並行で3月にヨーロッパとアメリカを中心に起ったのがパンデミックと
オーバーシュートです。 感染者、死亡者(下段)の多い国は、以下の通りです。
3/15 イタリア、 アメリカ、 スペイン、 ドイツ、 イラン、 フランスなどです。
17750 2951 6391
1441 57 196
3/25 69176 53934 47610 31554 27017 22302
6820 728 3434 149 2077 1100
3/31 101739
11591
新型コロナウイルスが、中国での感染者によってヨーロッパやアメリカに持ち
込まれ、クラスター感染によりイタリア、スペイン、アメリカでオーバーシュートを起
こしたのです。
これらの国ではロックダウンが2、3週間、厳格な外出制限措置が数週間に渡り
実施され、大都市の街中は人が殆ど歩いていない状態が続いています。
イタリアでは、最近になって感染者の増加数が低水準となり流行安定化の兆候
を示し、WHOはヨーロッパでの感染拡大のピークが今後1~2ヶ月先に来るとの見
通しです。
しかし、パンデミックが終息するのは人口の60~80%が免疫を持った時とするの
が通説であり、これからすると外出制限措置を緩めると感染の拡大が戻る可能性
もあり、生活の正常化には半年もしくはもっと長い時間を要すると考えるのが自然
かもしれません。
ところで、日本は3/31現在、 感染者が2229、死亡者が77です。
これはオーバーシュートを起こしたイタリア、アメリカ、スペインなどから見ると
信じられない少ない数字です。
どうして中国に近い日本がこんなに感染が拡大していなのか各国から不思議がら
れています。
日本では2月にクラスター感染により無症状の若者から高齢者に感染が拡大して
いることを重視して、若者に対しクラスター感染を発生させ易い場所への出入りの自
粛要請、3月からは小中高の一斉休校の要請を行いました。
日本で実施したのはそれだけであり、しかも法的拘束力はなかったにも拘らず、
オーバーシュートが未だ起きていないのです。
30日に東京都は、感染者の30%が夜の接待を伴う飲食店で感染しているという分析
結果に基づき、夜間から早朝にかけて営業しているこれら飲食店への出入りの自粛を
要請しました。
これら飲食店をクラスター感染の発生源と認定し、今度は中高年に対する自粛要請
を行ったのです。
それにしても、ヨーロッパで起きたオーバーシュートがなぜ日本で起きていないのか
の疑問は晴れていません。
ここからは素人の推論です。
ヨーロッパでは3月に入ってオーバーシュートが起こっており、2月の段階でクラスター
感染の予防策として外出自粛要請がなされていたように見えないのです。
つまり、日本では札幌雪祭り時のクラスター感染を経験して、クラスター感染の根絶
が最大の感染拡大の予防策と認識されたのです。
それに対して、2月のヨーロッパではクラスター感染の根絶という認識がまだ弱く、
外出の自粛要請も出されなかった結果、知らず知らずの内に中国からの帰国者に
移された無症状の若者が高齢者に感染を拡大させて行っただろうと想像されます。
3月に入って、2週間の潜伏期間を経て軽症感染者及び肺炎の重症高齢者が次々と
現れてオーバーシューに至ったのです。
日本では2月の段階でクラスター感染の根絶を柔らかい方法ながら実施していたこと
がオーバーシュートを回避するという僥倖に繋がったのかもしれません。
しかし、クラスター感染の根絶策がオーバーシュートを遅らせているだけだとする
考えもあり、
そうだとすれば先に述べた通説(パンデミック終息時説)に従えば、クラスター根絶の為
の自粛要請をずっと続けなければならないのかもしれません。
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