インターネット行政書士のフロンティア戦略  第149号   
                      平成31年6月10日発行 
           
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。

                         今回の目次
                 □ 
銀行の信用創造とMMT理論



  日本は20年以上もデフレ下にあり、経済成長していない唯一の先進国です。
この間、日銀は金融緩和策により銀行から国債を多量に買って(買いオペという)、市中銀
行の日銀当座の準備預金を膨大に増やし、銀行の貸付限度額が大幅に増えて低金利に
なったにも拘らず、銀行による貸出は一向に増えずインフレに転換しませんでした。

  その一方、政府は国債残高が1000兆円を超え財政危機だとして、毎年の新規国債発行
を削減して公共事業を減らす財政政策を採りました。

  デフレ(物価が下落し通貨価値が上がる)とは、商品が売れず賃金は上らず、企業は利益
を投資せず内部留保に回し、人は通貨を消費より貯蓄に回し、その結果需要が更に縮小す
る悪循環に陥り経済が成長しなくなった最悪の状態です。

  これまでの主流派経済学では、需要が供給を下回るデフレ下では、貨幣供給量を増やす
金融政策を採れば自然に需要が増えてデフレを克服出来るとされていました。

  しかし、日本でそうならなかったのはなぜか。


  主流派経済学は間違っているとし、デフレ対策は財政政策で行くしかないというのがMMT
理論(現代貨幣理論)なのです。 

  MMT理論のキーポイントは、銀行の信用創造を理論の基礎に置いていることです。
MMT理論は、銀行の信用創造という昔から知られた事実を素直に認めよと云います。


  さて、銀行の信用創造とは何か。 
 
  銀行が行う貸付というのは、銀行預金が元手になっている訳ではなく、銀行員が借主の
預金通帳に貸付金の額を記帳するだけで預金の発生(通貨の発生)します。


  預金通帳に貸付金が記帳された時、貨幣という負債が発生し、これを銀行の信用創造と
呼んでいるのです。

  日銀の銀行に対する貸付(銀行から国債を買取る、買いオペという)も、銀行の日銀当座
預金通帳に記帳するだけです。

  何れも、預金の発生(通貨の発生)という点で信用創造なのです。

  その際、銀行は日銀からの借入金の一定率以上を日銀当座に預ける必要があり、それを
準備預金と云います。


  ところで、政府は財政赤字(歳入が歳出よりマイナス)を埋める為、毎年国債を発行しており、
その国債は主に銀行が日銀当座の準備預金を使って買っているのです。

  銀行が国債を買うと、代金は政府の日銀当座預金通帳に記帳され、その金額は政府の歳入
ら当てられ、政府が公共事業を発注すると、政府からは政府小切手で受注者に代金が支払わ
れます。

  受注者が政府小切手を銀行に持ち込むと、銀行は受注者の預金通帳に小切手の金額を記
帳し、日銀に代金取立を依頼します。

  日銀が政府に政府小切手を提示すると、政府の日銀当座から銀行の日銀当座に代金相当の
預金が振り替えられて、国債を買った時の代金が銀行に戻って来ます。

  こうして、銀行は日銀当座の準備預金を使って新規発行の国債を何回でも買うことが出来る
のです。

  円建ての国債ならいくら発行しても財政破綻はしないというのもMMT理論の主張です。
政府は通貨発行権を持っているので、紙幣を幾らでも刷れるからです。

  ギリシャやアルゼンチンなどが財政破綻したのは、何れも自国通貨建ての国債ではなかった
からです。

  日本では財政破綻の心配がなく、銀行の準備預金が潤沢にあり、低金利にあるにも拘らず、
民間の資金需要が全く増えずデフレから抜け出していないのはなぜか。
 
 準備預金が増え分が国債購入に消化されてしまい、銀行の貸出を増やすことになっていなか
ったのです。

 つまり、日銀の金融緩和策(買いオペ)では民間の貨幣供給量を増やすことにはならなかった
のです。

  民間の貨幣供給量が増えなければ、需要(消費と投資)が増えずインフレにならないのは
当たり前の話です。

  民間の貨幣供給量を増やすには、政府の財政赤字を拡大して公共投資を増やして民間の
銀行預金を増やすことが必要だったのです。

  しかし、日本は過去20年間、消費税を上げ、財政支出を抑制するという真逆の政策を採っ
ていたのです。


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