インターネット行政書士のフロンティア戦略  第134号   
                      平成28年11月24日発行 
           
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。

                         今回の目次
               □ 
ロシアからの電力輸入と北方領土交渉



  プーチン氏の来日が近づいていますが、ここに来てプーチン氏がアジア・スーパー・グリッド構想
(ASG構想)の推進を北方領土の交渉条件にする構えであることが分かって来ました。

  ASG構想とは東日本大震災後の2011年9月に孫正義氏が発表したアジア、日本、韓国、中国を結
んで相互依存・相互利益を目差す電力網構想のことです。  
 
  ヨーロッパには既に再生可能エネルギー(風力、太陽光、水力など)で発電した電力を各国でやり取
りする電力網がありますが、そのアジア版と云えます。

  モンゴルでは風力発電、ロシアでは水力発電、インドでは太陽光発電による電力をアジア各国で
利用し合う為の送電網をアジアにも構築しようというものです。

  プーチン氏にとってこの構想は渡りに船と云えます。  ロシアはクリミア問題に係る経済制裁で海
外から投資が先細り、原油安で経済が悪化している中、中国との関係で極東シベリア開発が喫緊の
課題なのです。
 
  ASG構想が実現すれば、日本に電力を輸出して稼いだ資金を極東シベリア開発に回すことが可能
になるだけでなく、ヨーロツパに偏ったエネルギー供給先の多角化が図られます。
 
  一方、日本は2030年から全発電量に占める原発の割合を減らそうとしており、サハリンで発電した
低コストの電力(日本の三分の一程度)を輸入出来ればその達成はより確実になります。

  サハリンと稚内とは海底ケーブルで結びます。 距離は約42キロあり、事業費は約6200億円です。


  今、ロシアが最も欲しているものは極東シベリア開発の資金なのです。

  日本の何十倍もあるシベリアでインフラを整備するには莫大な資金が掛かることは誰にも分ること
です。  しかし、ロシア経済は資源の輸出に依存し、GDPでは日本の三分の一で韓国やオーストラ
リア並に過ぎません。

  これではあの広大なシベリアの開発などとてもロシア一国では無理な話です。

  高い工業技術力を持ち投資資金も潤沢でかつ資源の大輸入国である日本という経済大国を、ロシ
アは隣国として持っているのです。

  ロシアが北方4島の主権を主張すれはするほど日本の経済協力は遠退いて行くのであり、プーチン
氏もそれは分かり過ぎる程分かっている筈です。

  もし、12月のプーチン氏来日時に北方領土交渉で何の進展もないとしたら、プーチン氏はロシア国民
の将来にとって何の利益をもたらさない選択をしたことになり、ロシアの後世の歴史家から低い評価しか
受けられないことになるでしょう。

  北方4島の問題は日露間に刺さった棘であり、これがロシアの経済発展を阻害しシベリアの開発を
遅らせていたのです。  

  北方4島を日本に返還すれば、日本から半永続的に何兆円という投資資金が流入し、日露通商関係
も活発化して極東シベリアのロシア人の生活も大いに向上することになる筈です。

  ロシアにはもともと長い「モンゴルのくびき」の時代があり、モンゴルとの闘いに勝ってやっと独立出来
たという辛い歴史があり、領土への執着が強いのです。   しかし、もはや戦争によって国境を決める
時代ではないのです。  

 北方4島の主権がロシアにあると主張し続けることで極東ロシア人の生活に一体どんなメリットがある
というのでしょうか。  この問題はビジネスライクな視点で解決すべき時が来ているのです。

 
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