インターネット行政書士のフロンティア戦略  第125号   
                  平成27年8月6日発行 
      
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。

                    今回の目次
               □ 
友人でもなれる祭祀承継者


  私が財産管理契約を締結している高齢者Aさんは、子供がなく2年前に妻を亡くし
一人暮らしで近くに親族もおりません。

  九州に先祖代々の墓がありますが、妻の遺骨は5年前に作った横浜の墓に納骨
しています。
 
  Aさんは遺産の多くを九州の寺に遺贈しますが、祭祀承継者が誰になるのかは
不明です。
  Aさんの位牌を管理し1回忌、3回忌を誰が行うのか、九州の先祖代々の墓は無縁
墓にならないかという問題が発生しているのです。

  祭祀承継者には私でもなれるのだろうか。   なれるとして、それによって私は
どんな権利義務を取得しまたどんな制約を受けるのかを整理してみます。

  法律的には、Aさんが私を祭祀承継者に指定すればなれます(民法第897条)。
指定の方法は口頭でもよく遺言書にする必要もありません。

  つまり、祭祀承継者になるのに資格や条件など一切なく、友人でもなれるのです。
 
ただ、指定された人は就任を拒めないとされており、代替者がいる場合に限り祭祀
承継者の地位を譲れるとされています。

  次に祭祀承継者の権利義務は、祭祀財産(仏壇、位牌、仏具、墓、家系図など)を
承継して先祖の祭祀を主宰することです。

  祭祀財産は相続財産に含まれず、祭祀承継者の所有権に帰属するのです。
祭祀承継者は祭祀財産を処分する権限を有するということです。

  なお、判例で祭祀承継者は祭祀を行う義務を負うものではないとされています。


  ところで、Aさんが横浜に保有する墓というは、永代使用権(永代使用料として
100万円を支払済)が設定されている納骨堂です。
Aさんは既に20年分の管理費を支払っており、20年後には合祀墓に合葬されます。

  しかし、墓のスペースの関係で位牌までは収納してくれないのです。

お寺もやはりそうであって、無縁の遺骨を合祀する墓があっても位牌までは引き取
ってくれないのが一般です。

  位牌というのは、祭祀承継者が管理する仏壇に収納して供養するのが基本なの
です。

そうであれば、私がAさんの祭祀承継者になれば全てが解決することになります。

 即ち、Aさんとの死後事務委任契約の中で、私を祭祀承継者に指定して貰い、
かつ1回忌と3回忌などの法事の費用及び仏具の購入費用等を取り決めて置いて
Aさんの遺産の中から支出することにすればいいのです。



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