インターネット行政書士のフロンティア戦略 第124号
平成27年6月18日発行
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。
今回の目次
□ 知られざる委任契約及び任意後見契約
任意後見契約に関する法律が施行されてから15年になります。
さすがに任意後見人という言葉はかなり知られるようになりました。
しかし、任意後見契約と同時に締結するのが一般的な委任契約になりますと、未だに
十分認知されていないのが現状です。
この度、私は初めてこの委任契約に基づき委任者の預金の払戻し請求をしました。
ところが、信用金庫とゆうちょ銀行の窓口担当者からは、任意後見人に就任していない
のだから今現在は代理行為が出来ないなどと云われる始末です。
そこで、私は委任契約を締結していること、これは元裁判官が作成した公正証書である
こと、委任契約の意義を力説して理解して貰うのに努めた次第です。
事務の終了まで時間が掛かり、 ゆうちょ銀行に至っては現金を渡されるまで1時間も
店舗に留められました。
そもそも何故に委任契約を任意後見契約と併行して締結するのでしょうか。
任意後見契約は、委任者が認知症になって家庭裁判所で任意後見監督人が選任
された時に効力が生じ、その時から受任者は任意後見人に就任するのです。
効力が生じるまでは任意後見人受任者に過ぎず、財産管理を開始出来ないのです。
しかし、認知症になる高齢者は10人に一人ですし、認知症になってはいないが、
身体が不自由でかつ世話をしてくれる親族がなく一人暮らしをしている場合、
今直ぐにも財産管理を誰かに委任したい状況にあります。
そおいお高齢者の要望に応える為にあるのがこの委任契約なのです。
高齢者の判断力が正常であれば、契約自由の原則が働き、高齢者の意思に
基づきこの委任契約を締結することも自由なのです。
委任契約に基づく受任者の代理権の範囲は、任意後見契約に基づく任意後見人の
代理権の範囲と全く同じです。
委任契約及び任意後見契約公正証書は、委任状と同じ効果があります。
私はこの度、委任者から預った実印と預金通帳、それにこの公正証書と運転免許証を
提示して、定額貯金の解約、口座預金から入院費の支払い、
国民健康保険被保険者証の再発行申請、印鑑登録証の破棄と再登録の申請、
有料老人ホームの入居契約の締結などを行った次第です。
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