インターネット行政書士のフロンティア戦略 第121号
平成27年1月15日発行
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。
今回の目次
□ 事例研究で合理的な相続の方法を掴め
<事例>
80歳の父に長男と長女の子が二人いるとします。 母は既に亡くなっています。
父は1億円の生命保険の受取人を長女にし、3000万円を長男のマンション購入資金と
して贈与し、残りの財産1億円(不動産を含む)を長男に相続させる遺言書を作ろうと考
えています。 子二人で遺産を公平に分けるというのが父の意思です。
しかし、この方法では以下の懸念が残ります。
イ 生命保険金は相続財産ではありません。 そこで、長男が長女から相続財産から
1円も貰えてないとして遺留分を請求される可能性があります。
ロ 長男へのマンション購入資金は、贈与税の対象になります。
住宅取得資金の非課税特例は平成26年12月31日までです。
ハ 長男へのマンション購入資金は、遺留分の対象になります。
遺留分の対象になる生前贈与の期間に、法律上の制限がないからです。
ニ 長女が遺留分を請求すると長女が多く貰い過ぎることになります。
ホ 長男は相続税を支払う為に不動産を売却しなければならない場合があります。
ではどうすればいいのでしょうか。
1 まず生命保険金の受取人を長男にします。 そうすれば、生命保険金から相続税や
遺留分を支払うことが出来ます。
2 次に、長男へマンション資金を贈与するのではなく、マンションを父名義で購入して
長男に住まわせます。 そして、遺言書でマンションを長男に遺贈することにします。
こうすれば、贈与税はゼロになり、マンションは相続により長男のものとなります。
また、マンションに父が同居していた場合、マンションが二世帯住宅の場合、父が
有料老人ホームに入居していた場合には、小規模宅地等の特例が適用されることで
相続税算定時にマンションの評価額が80%減額されます。
3 父が亡くなったら、長女と長男が協議して遺産を公平に分割する遺産分割協議書を
作成します。
例えば、長女が現金を希望するなら、生命保険金の一部を貰ったり、不動産は売却して
代金の一部を貰うことが出来ます。 遺産を公平に分割しますから、後で遺留分を請求
されたり、裁判になることもありません。
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