インターネット行政書士のフロンティア戦略  第116号   
                 平成26年6月30日発行 
      
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。

                    今回の目次
        □ 居住用不動産、小規模宅地等と相続税、譲渡所得税




  相続税の基礎控除額が平成27年1月1日から「3000万円 + 300万円×相続人の数」
になります。

 東京など都市部では土地の時価が地方より高い為、納税対象者が相当増えると
予想されています。

  広い土地の所有者の間では、相続税をがっぽり取られる位ならいっそのこと
公益法人に寄付してしまえと考える人も増えています。

  しかし、平均的レベルの居住用不動産でかつ配偶者又は子への相続であれば、
そんな心配も要らないと思います。

 「小規模宅地等の特例」により、平成22年4月1日以降の相続から
被相続人の240平方メートル以下自宅敷地については、相続税評価額
80%減額される
からです

  ただし、以下2つの要件を満たすことが適用の条件です。

イ 取得者が次の者であること

    被相続人の自宅の敷地を配偶者又は同居の子が取得した場合

    被相続人(1人暮らし)の自宅の敷地を賃貸住宅に暮らしている子が取得した場合

    被相続人の賃貸マンションの敷地を子が取得した場合

    被相続人のお店(金物屋さん)の敷地をお店を継ぐ子が取得した場合


ロ 相続開始直前の利用状況が次の通りであること

    被相続人等(被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族を含む)の
    居所用又は

    事業用(事業には、不動産賃貸事業や特定同族会社(相続開始直前に
    被相続人及び親族その他特別の関係がある者が有する株式の総数が

    発行済株式の総数の50%を超える法人)の事業を含む)の建物又は
    構築物の敷地として利用されていること。

        
 詳細 →国税庁HP  小規模住宅とは


  次に、相続した不動産を譲渡する場合に掛かる譲渡所得税についても、
居住用不動産には譲渡所得から3000万円の特別控除が認められています。

  譲渡所得というのは値上がり益(キャピタルゲイン)のことです。  
地価が買った時より下落していれば発生しませんが、
先祖代々の土地を相続していればキュピタルゲインがあります。

その場合であっても相続人が居住していれば値上がり益から3000万円の控除が
可能になります。

  なお、相続税を支払っていた場合に更に譲渡所得税を支払うことは二重課税に
ならないかという問題がありますが、

  判例によれば「被相続人の保有期間中の増加益は、
所得税第9条1項15号の「相続・・・により取得するもの」に当たらず
(東京地裁平成25年7月26日判決)、二重課税にはならないとしています。


 また、離婚の際に財産分与として不動産を譲渡した場合にも譲渡所得税の
課税対象になります。
最高裁判例によれば、

 イ 譲渡所得に対する課税は、資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する
   増加益を所得として、その資産の所有者の支配を離れて他に移転するのを機会に、
   これを清算して課税する趣旨のものである。

 ロ 所得税法33条1項にいう「資産の譲渡」とは、有償無償を問わず資産を移転させる
   いっさいの行為をいうものと解すべきである。

 ハ 財産分与としての不動産の譲渡によって、分与者は離婚によって負担した分与
   義務の消滅という経済的利益を享受したものというべきである。

  と判示しています(最高裁昭和50年5月27日判決)。

  従って、財産分与としての不動産の譲渡の場合にも譲渡所得税の課税対象になり、
居住用不動産に限って譲渡所得から3000万円の特別控除が認められることになり
ます。

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