インターネット行政書士のフロンティア戦略 第105号
平成25年4月23日発行
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。
今回の目次
□ 直葬、散骨と関連の法律について
近親者で通夜を行った後は火葬のみとし葬式を行なわないのを直葬(ちょくそう、又は
じきそうと読みます)と云います。
火葬がその中心にあるので、「火葬」と呼ぶこともあります。 少し前までは身元不
明者の為のものであった「直葬」が、東京では20%にまで普及して来ていると云います。
その理由としては、亡くなる人が高齢化して参列者が多くなくなったこと、それに近年
高まった高額な葬儀費用や戒名料に対する批判があると思われます。
因みに、2009年の全国平均では、葬儀社への支払いが140万円、お寺の戒名料・お布
施が55万円、飲食接待費が40万円となっています。
葬儀にこんな大金を使っている国は日本しかありません。
さて、火葬に関係する法律に、「墓地・埋葬等に関する法律」(埋葬法、墓埋法ともいう、
昭和23年制定)があります。
しかし、この法律は 埋葬、火葬、改葬について規定しているだけで、葬儀については一切
触れていませんし、散骨についても禁止していません。
用語の定義は、以下の通りです。
「埋葬」・・・・死体(妊娠4箇月以上の死胎を含む)を土中に葬ること。
「火葬」・・・・死体を葬る為に焼くこと。
「改葬」・・・・埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、もしくは収蔵した焼骨を、
他の墳墓又は納骨堂に移すこと。
「墳墓」・・・・死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設のこと。
「墓地」・・・・墳墓を設ける為に墓地として都道府県知事の許可を受けた施設。
「納骨堂」・・・他人の委託を受けて焼骨を収蔵する為に、納骨堂として都道府県知事の
許可を受けた施設。
「火葬場」・・・・火葬を行う為に火葬場として都道府県知事の許可を受けた施設。
この法律のポイントは、次の3つです。
イ 死亡又は死産から24時間以内は、埋葬と火葬が禁止される
ロ 墓地以外での埋葬及び火葬場以外での火葬は、禁止される
ハ 埋葬、火葬、改葬には、市町村長の許可が必要である
ところで、火葬済の認証がある火葬許可証が埋葬許可書になるなどと本に書かれて
いたり、埋葬許可証が本来の意味と違った使われ方をしています。
実は、埋葬法で云う「埋葬」は、死体を土に葬ることで土葬のことなのです。
制定当時は「土葬」と「火葬」が半々だったことが法律に反映しているのです。
ですから、火葬許可証が埋葬許可証になるという解釈は本来成り立たないのです。
実際にも火葬済の認証がある火葬許可証を提出すれば焼骨の埋蔵又は収蔵が許可される
のでわざわざ埋葬許可証になると云う必要もない筈です。
しかし、99.8%までが火葬である現在、土葬という観念が人々なら失われて埋葬が墓に納め
る(焼骨を埋蔵又は収蔵する)という意味にいつしか変質してしまって、埋葬許可証が本来の埋葬
の許可ではなくて焼骨の埋蔵・収蔵の許可として現場では使われるようになり、それが実務上も
定着したということなのだろうと私は考えています。
最後に、散骨が行われるようになったのはここ20年です。
散骨とは焼骨を墓に埋蔵するのではなく、海や川や空や平原など自然の中に遺灰
を撒くという自然葬のことです。
これも墓埋法では禁止されていません。
また、法務省刑事局は「遺骨の損壊、遺棄を禁じる刑法190条の規定は、社会習俗としての宗教的
感情などを保護する目的だから、葬送のための祭祀で節度をもって行われる限り問題はない」と
しています。
散骨は葬送の方法の一つの選択肢です。
散骨であれば墓が要りません。 その意味で墓のない人が遺言書又は死後委任契約書の
なかで葬送の方法として散骨を指定してもいいですし、それがない場合でも故人の希望でしたとして
遺族が散骨を選択してもいいのです。
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