インターネット行政書士のフロンティア戦略  第101号   
                 平成24年11月13日発行 
      
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。

                  今回の目次
           □ 隣地通行権、位置指定道路について



1 隣地通行権について

 他人の土地に囲まれて公路に通じていない土地を、袋地又は無道路地といいます。
    ※公路とは→ 公道及び公衆が自由に通行出来る私道。
 ただし、車が通れないような細い道であっても公路に通じていれば、袋地ではありません。

  袋地を取り囲んでいる他人の土地を囲繞地(いにゅうち)と云いますが、
袋地の所有者には公路に出る為に囲繞地を通行する権利が民法第210条で認められて
います。   

 この権利を隣地通行権又は囲繞地通行権と云います。
袋地の有効利用の為に公法上当然に認められた権利ですから、囲繞地所有者の承諾
も要りません。 

  通行権利者の家族、郵便配達人などの関係者にもこの権利は及びます。
通路の幅員は2メートル前後とされ、車の通行まで保障するものではありません。

  ただ、囲繞地の所有者に損害を与えた場合には、償金を支払う必要があり、
近隣の駐車場料金などを参考に償金が決められます。

  次に、袋地の所有者が囲繞地所有者と契約を締結して通行権を設定することも出来ます。
これを通行地役権といいます。  通行地役権には民法第210条以下の規定が適用され
ませんので、当事者で自由に内容を決められるという利点があります。


<では、近隣の人が20年以上も前から無償で通行している場合はどうか>
  裁判所では、永年の事実状態を尊重して「無償での通行地役権がある」との扱いが
なされているようですから、今からの有償化は無理と思われます。

<通行地役権の時効取得はあり得るか>

 通行者自身が通路を開設した場合でない限り、通行地役権の時効取得は認め
られ
ないとするのが、確立した判例になっています。


2 位置指定道路について

  さて、建築基準法第43条では、建築物の敷地は「道路に2メートル以上接してい
なければ
ならない」(接道要件)と定めています。

 ※ 建築基準法上の「道路」とは →幅員4メートル(指定区域内は6メートル)以上のもの 
                      (同法第42条第1項)


  幅員が4メートル以上ある道路に2メートル以上接道していない土地は、
売れないという意味で市場価値がゼロの物件です。
  つまり、その土地に建物を建てたくても建築確認が得られない以上、そんな土地を
買う人はいません。

  建築基準法第42条5号に定める位置指定道路とは、建築基準法第43条に定める
接道要件を満たす為に、 利害関係人が知事又は市町村長に対し申請して位置指定
を受けた私有地のことを云います。

  これは5号道路と呼ばれることがある建築基準法上の道路ですから、幅員は当然
4メートル以上あります。

  位置指定道路の申請をするのは、例えば細長くて間口の狭い土地を何分割か
して分譲地に開発した業者などが多いようです。
  公路から各分譲地に至る通路を開設して位置指定を受けないと、奥の分譲地は
袋地になって売り物にならないからです。

  この場合の位置指定道路は分譲地の所有者の共有となるか、又は自治会に
分譲業者から贈与されることが多いようです。
 
 登記上の地目で公衆用道路とされている土地が、個人の単独所有となっている
こともあります。  

 その道路の幅員が4メートル以上あれば位置指定道路として築造された可能性が
ありますが、周囲の住民が通行地役権の設定もないまま20年以上も無償で通行して
いる場合には、無償の通行地役権があるとされますから、
通行料の請求又は通行禁止とすることは難しいと思われます。



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