インターネット行政書士のフロンティア戦略  第99号   
                 平成24年8月28日発行 
      
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。

                今回の目次
        □ 債権者一覧表への記載を失念した債権と免責の効力


    
  破産者が免責決定を受けた後に相当時間が経過してから、支払いの請求を受けること
があります。    そのような請求が来るのは、債権者一覧表にその債権の記載がない
場合、又は債権者一覧表(債権者名簿とも云う)そのものが既に消失している場合です。

  しかし、免責の効力はその債権に及ぶことが多いと思われるますので、破産者は何も
慌てることありません。

  破産法第253条第1は、非免責債権を列挙し、6号では「破産者が知りなが
ら債権者名簿に記載しなかった請求権
(当該破産者について破産手続き開始の決定
があったことを知っていた者の有する請求権を除く
)」と規定しています。  


 まず、支払いを請求して来た債権者の別の請求権が債権者名簿に記載されている
場合には、
その債権者は破産手続き開始の決定を知っていたことになります。

 よって、本債権は破産法253条第1項第6号の
「破産手続き開始の決定を知って
いた者の有する請求権」に該当し、
非免責債権には該当しないことになります。

  次に、支払いを請求して来た債権者の別の請求権が債権者名簿に記載されていな
い場合であっても、
債権者名簿に載せなかったことにつき破産者に過失があった
場合には非免責債権とはなりません。


  判例において「債権者名簿作成時に債権の存在を認識しながらこれに記載しな
かった場合には免責されないことは当然であるが、債権者名簿作成時には債権
存在を失念したことにより記載しなかった場合、それについて過失の認め
られるときには免責されない一方、それについて過失の認められないときに
は免責され
ると解するのが相当である
(東京地裁平成15624日判決)
とされているからです。


  破産者に過失がない場合の具体例としては、被相続人に連帯保証債務があることを知
らず相続放棄をしないでいたところ、免責決定後に債権者から突然催告書が届いて被相
続人に財産があることを知ったという場合などが考えられます。


  そして、破産者が知りながら本債権を記載しなかったこと又は破産者の過失により記載
しなかったことについては、債権者が主張立証責任を負うとするのが判例です。

「免責の効力を主張する者は、免責許可決定を受けてこれを確定したこと、当該債権が
破産債権であることを主張すれば抗弁として十分であり、破産者が当該債権の債権者
を知りながら債権者名簿に記載しなかったということについては、免責の効力を否定
る者が主張立証責任を負う再抗弁であるものと解する」(横浜地裁平成24年6月29日
判決)。



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