インターネット行政書士のフロンティア戦略  第89号   
                 平成23年6月22日発行 
      
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。

                今回の目次
        □ グリーストラップ浄化装置について
           ☆ グリーストラップとグリーストラップ浄化装置の関係
           ☆ グリーストラップ浄化装置を巡るトラブル



    □ グリーストラップ浄化装置について

  
 ☆ グリーストラップとグリーストラップ浄化装置の関係
 グリーストラップ(グリース阻集器)は、下水管の損傷・機能低下を防止
する観点から
昭和
50年建設省告示(建設基準法施行令給排水設備の技術基準)
により油脂分(グリース)を多く含んだ排水を出す飲食店などの厨房に設置
が義務付けられています。

   参考資 →グリーストラップについて(盛岡市下水道局のホームページ)

 なお、同技術基準では「油脂、ガソリン、土砂その他排水の為の配管設備
の機能を著しく妨げ又は排水の為の配管設備を損傷するおそれがある物を
含む場合においては、有効な位置に阻集器を設けること」とされており、
阻集器の設置は油脂を多く含む場合に限定されている訳ではありません。

 ですから、排水に含まれる油脂分(グリース)を分離し収集する為の阻集器を
特にグリーストラップと呼ぶのです。

 一方、グリーストラップの設置義務化は飲食店にグリーストラップの
清掃・保守管理という新たな仕事を増やすことになりました。


 どういうことかと云いますと、グリーストラップの掃除を怠ると悪臭や
害虫の発生原因となる為、コンスタントに清掃をやる必要があるのです。

 清掃についてはバスケット
(ゴミの収集箱)は毎日1回、グリース()
除去は週
1回、沈殿物の除去は1ヶ月に1回、トラップ内部は23ヶ月に
1
回はしないと、グリーストラップの機能維持が出来ないとされています。

  只でも忙しい飲食店にとってこのグリーストラップの清掃はかなりの負担です。  
そこで、その負担を軽減する為、グリーストラップに追加的に設置する装置
として開発されたものがグリーストラップ浄化装置なのです。


 グリーストラップ浄化装置はマイナスイオン、オゾンなどにより油脂分の
分解を促進させることで
雑菌・害虫の発生、配水管の詰まりを予防しようと
いう発想の装置で
グリーストラップの清掃の負担軽減を狙ったものです。


   
☆ グリーストラップ浄化装置を巡るトラブル
 グリーストラップ浄化装置は飲食店にとりグリーストラップの清掃・
管理という仕事を軽減してくれる有難い装置ですから、クレジット契約
により導入する店が増えたのも当然でした。

 その反面、グリーストラップ浄化装置を巡るトラブルも増加しています。

 販売業者の任意団体である日本阻集器工業会では、適正な装置として認定
した製品をホームページで公表している他、
酵素やバクテリアを利用する装
及び
曝気装置等(曝気<バッキ>とは撹拌などにより液中に空気を供給する
ことを云い、撹拌機能のあるグリーストラップ浄化装置はこれに該当す

)の追加設置を禁止しています。
 
 禁止の理由は排水が撹拌されることで油脂分が流れ出
やすくなりグリースト
ラップの効果を低下させるからです。

 http://www.nihon-soshuki.jp/

 平成23年2月に倒産し同年10月3日に大阪地方裁判所から破産開始決定を受
けたサンテックス株式会社のグリーストラップ浄化装置は攪拌機能があった為、
硫化水素の逆流が起こり冷蔵庫等の銅管に穴を開け冷えなくするという事故を
平成22年夏頃に発生させており、サンテックスは事故の責任を認めて損害賠償
をしています。
 
 また、オリコはサンテックスとの加盟店契約を平成22年8月に破棄しています。

 サンテックスが販売していたグリーストラップ浄化装置は構造的に欠陥のある
装置であったのです。  また、年4回のメンテナンス(清掃・点検)は倒産により
履行不能となりました。

では、これらがクレジット会社に対しては支払い停止の抗弁事由となり得るかに
ついては下記判例が参考になりますが、


<商行為に関する高裁判決>  →判決全文
「自動車の販売・修理の会社が
訪問販売業者と締結した消火器薬剤充填整備、
点検作業等の実施契約は、
消火器を営業の対象とする会社ではないので営業の
為若しくは営業として締結したものではない」
(大阪高裁平成15年7月30日判決)。


 しかし、クレジット会社は商行為を主張して譲らず、最近、クレジット会社
から提訴された方に対して、裁判所は「事業者の営業の為の契約であるから
払い停止の抗弁が適用されない」として購入者を敗訴とする判決を出しており
ます。

 一部の人が信用情報機関に延滞登録されたという情報もあり、クレジットの
利用を予定されている顧客の支払い停止は危険です。
                       (2012.12.6一部訂正)
       
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