情報のコーディネーター  第92号
         
    平成26年4月25日発行
          窮すれば通ず。 情報こそ反転の力なり。 コトバで心の壁を破れ。

                   今回の目次
              □ 日本の国際収支について
     


  最近の新聞には、「貿易収支が過去最高の赤字になった」という記事がよく載ってい
ます。  平成25年度は13兆7488億円の赤字で、貿易収支が赤字になるのは3年連続
だそうです。

  これだけを見ますと、貿易立国の日本に何か重大な変化が起きているようにも見え
ます。
  しかし、日本は所得収支が16兆円以上の黒字であり、経常収支では3兆円以上
の黒字です。   つまり、最終的には黒字を維持しておりその意味ではそれほど深刻な
状況でもなさそうに思えます。

  今日は、日本の貿易構造の変化について整理して見ます。
まず、最近の貿易収支が赤字に転落した原因ですが、以下が挙げられています。

1 原油やLNGの輸入量は増加していないが円安で支払金額が増加した。
2 円安で自動車の輸出額は増えたものの、工場の海外移転による
  国内の空洞化が進んでいる為輸出がそれほど増えない一方、
  東南アジアや中国の日本企業からの輸入や中国からの太陽光発電用電池
 など電子部品の輸入が格段に増大した。

  要するに、海外に生産拠点がシフトされてこれらからの輸入が増大えたこと、25%以上
の円安で原油やLNGの支払額が増大したことが貿易赤字の原因になっていると云うの
です。

  次に、過去の貿易収支はどれくらいあったかですが、過去30年間を見ますと
最大で17兆円(1992年)で、10兆円を下回っているのは1996年、2001年、2005年、2008年
の4回しかありません。   平均しますと、毎年12兆円から13兆円位あったことになり
ます。

  貿易収支は2007年の11兆円を最後に急激に減少し8年後に13兆円という最大の赤字
を記録するのですが、この減少をカバーして余りあるものに所得収支の増大があります。

  所得収支とは、海外への直接投資に係る配当金などの収益、海外への証券投資に
係る利子などの収益が主なものです。

  所得収支は、15年前の1999年で6兆円ですが、それが少しずつ増えて2007年に16兆円
になり、このレベルを持続しています。

  経常収支とは、この所得収支+貿易収支を云います。
経常収支の過去最高は、2007年の25兆円で、2010年に18兆円を記録してから10兆円、
5兆円、4兆円と下がって来て、2013年の3兆円台という過去最低に繋がっています。

  2013年は貿易収支と経常収支の両方が過去最低だったということです。
所得収支は恐らく増えることがあっても急激に低下することはないと思われますから、
貿易収支が改善され次第、再び経常収支は10兆円台を回復するのではないかという
のが私の観測ですが、これは少し甘いでしょうか。

 
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