情報のコーディネーター 第88号
平成25年10月29日発行
窮すれば通ず。 情報こそ反転の力なり。 コトバで心の壁を破れ。
今回の目次
□ 期待される北極海航路
北極海の氷は夏季に一部融けるのですが、地球温暖化により氷の融ける範囲が
広がっており、夏季に限って商船を通行させる計画が進んでいます。
この北極海航路は日本とヨーロッパの距離を6割も短縮することになります。
現在のスエズ運河経由の南周り航路は2万キロなのに対し北極海航路は1万2千キロ
しかなく、航海日数が2週間も短縮されるのです。
原油高騰による輸送コスト増と中東の政情不安というリスクを抱える南周り航路に比
べると、北極海航路はまるで夢のような話なのです。
北極海航路の最大の魅力は、北極圏の資源開発を促進することです。
北極圏には、未発見の原油埋蔵量の内13%が、天然ガス埋蔵量の内の30%が眠ってい
ると云われます。
この地域の資源開発に最も積極的なのはロシアで、北シベリアのヤマル半島にある
ガス田を開発して液化天然ガスの輸出基地を建設しようとしています。
日本では北極航路の開設により北海道の苫小牧港が恩恵を受けるとされます。
中継基地になる可能性が高いからです。
どういうことかと云いますと、北極圏を航行する為の特殊な構造の船は普通の海を航行
するには非効率なので、早く荷物を降ろして通常の船に積み替える必要があるからです。
その中継基地として苫小牧港の方が韓国のプサンより1100キロも短いという好位置にあ
るのです。
北極海も12カイリの領海以外は国際海洋法による公海とみなされますが、氷に覆われ
た水域については沿岸国に規則の設定が認められています。
従って、ロシアが設定した規則に従って航行することになります。 ロシアは事前届出
と原子力砕氷船の同行を義務付けています。
日本政府は2017年実行に向けて手続きの簡素化などでロシア政府と調整に入っています。
今、ロシアは北極圏やシベリアの資源開発を本格化させようとしている他、穀物、製材、
IT、自動車事業に力を入れています。
三井物産はロスネフチと極東で石油化学コンビナートや油田開発を共同で進めるといいま
す。
北極圏航路が開設されれば、観光も促進するのではないか。
シベリアやカムチャッカは殆どの日本人にとって未知なら世界であり、世界の最後の秘境と
いう印象があります。
ロシアが北方四島を返還すれば、日本から資本が入って極東開発を加速させロシアの
メリットは計り知れないものがあると私は思うのですが。
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