情報のコーディネーター  第79号
         
    平成24年11月18日発行
          窮すれば通ず。 情報こそ反転の力なり。 コトバで心の壁を破れ。

                   今回の目次
           □  PC遠隔操作による犯罪予告事件について                           

  今年の6月から9月に掛けて横浜市のHP、大阪市のHP、掲示板2ちゃんねる、幼稚
園のHP、タレント事務所のHPに、「殺人予告」「襲撃予告」「爆破予告」など13件の犯罪
予告記事が何者かによって書込まれるという事件が起きました。    

  警察はIPアドレスから発信元を突き止めて4人を逮捕しますが、4人とも誤認逮捕だっ
たとして釈放しています。

  真犯人はウィルスを他人に感染させその他人に成り済まし、PCを遠隔操作して犯罪
予告の書込みをしていたことが後で分かった為です。

 誤認逮捕はIPアドレスを過信した捜査に原因があります。  
書き込みには例えば270字の記事が2秒で書込まれている不自然さ、実名による
犯罪予告という不可解さがあったのです。

 しかし、警察はその事実を軽視し解明するに至りませんでした。
サイバー犯罪に対する警察の捜査手法の稚拙さを物語る以外の何物でもありません。

 驚くべきことに釈放された4人の内2人は、虚偽の自白をさせられていました。
虚偽の自白は近年問題になっている自白中心の警察と検察の捜査のあり方を問う
ものであり、可視化の必要性を改めて浮き彫りにするものです。


  ところで、遠隔操作による書込みとはどういう仕掛けになっているのでしょうか。

 2ちゃんねるを利用するケースでは、真犯人はウィルスが仕込まれた無料ソフトを
特定のサーバーに忍び込ませ、掲示板から無料ソフトをクリックするだけでダウン
ロード出来るようにして置きます。

 もし甲さんが 2ちゃんねるを閲覧して無料ソフトをダウンロードすれば、サーバー
から甲さんのパソコンにウィルスが感染することになります。

  真犯人が海外サーバーを経由して犯罪予告の送信を遠隔操作で行なうと、甲さん
のパソコンから犯罪予告が送信され、送信先のアクセスログに甲さんのIPアドレスは
残るものの真犯人のIPアドレスは残らないことになります。

  警察はウィルス検出ソフトで今回の遠隔操作ウィルスを発見出来ず、第三者による
遠隔操作の可能性を全く見抜けずIPアドレスだけを手掛かりにして発信元に記録され
ていた甲さんを犯人としてしまったのです。

  警察が遠隔操作に気付くのは、10月初旬に落合洋司弁護士とTBSに真犯人からの
犯行声明のメールが届いてからでした。

  ネット社会には知らぬ間にウィルスを感染させられ、犯罪予告の掲載など全くやって
いない人が脅迫罪や威力業務妨害罪の容疑を着せられてしまう危険があるのです。

  警察は3年前の秋葉原無差別殺傷事件で携帯サイトに犯行予告がされていたのに
防止出来なかった苦い反省から、犯行予定日前に容疑者を逮捕する方針で動いて
いるのです。
 
  警察の焦りが今回の誤認逮捕の底流にあります。
もし身に覚えもないことで突然逮捕される事態になったら、「当番弁護士を呼んで
下さい」「取り調べは弁護士と相談してからにします」と云って黙秘権を行使すべき
です。


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