情報のコーディネーター  第75号
         
    平成24年3月29日発行
          窮すれば通ず。 情報こそ反転の力なり。 コトバで心の壁を破れ。

                   今回の目次
          □  コモディティ化したテレビ



      
 
ケーヨーD2というホームセンターに行くと、16インチの薄型テレビを16000円台で
販売していました。   今や1インチ1000円を割ったというのも嘘ではないのです。

  テレビは家電の王様と呼ばれドル箱だった頃、1インチ1万円はしていたのですから、
現在のテレビは完全に日用品(コモディティ)化してしまっているのです。

  2012年3月期の最終損益ではシャープが2900億円、パナソニックが7800億円、
ソニーが2200億円の赤字となる見込みです。
  その一方で重電系の日立製作所が2800億円(過去最高益)、三菱電機が1000億円、
東芝が650億円の黒字を計上する予定です。

  弱電系の3社がこれほど莫大な赤字になった直接の要因は、テレビの価格が年率
3割というペースで下落したことです。
  しかし、テレビ事業についての経営判断の違いこそが重電系と弱電系でこのような
差となって現れたと考えるべでしょう。

  パナソニックは2010年度までに4000億円を投じて尼崎市にプラズマパネル工場、
姫路市に液晶工場を建設していますし、シャープは1兆円を投じて堺市に液晶工場
を建設しつつあり、また既存主力工場では液晶パネルの製造装置を最新鋭装置に
切換えていました。

  一方、重電系の日立などは、茂原の液晶パネル工場をパナソニックに売却したり、
外部委託を進めたりしてテレビの自社生産から撤退して行ったのでした。

  要するに、弱電系は液晶パネルに資源を集中させていたのに対し、重電系は
テレビ事業に見切りを付けてスリム化を図っていたのです。

  今では飛ぶ鳥を落とす勢いの韓国のサムソン電子でさえパネル事業では利益が
出ていないといいます。

  日本の弱電系の経営陣は大赤字の要因として、欧州金融危機に端を発する
世界的な経済の低迷、長期化する円高、IT投資の先送り、地デジ移行後の需要減、
構造改革費用の増加、法人税の実効税率の変更、東日本大震災やタイの洪水など
の天災被害を挙げています。
 
  しかし、本当の理由は別にあるような気がします。
テレビはパソコンでも見れるようになっていますし、スマートフォンの普及がテレビ
離れを加速させている面もあり、もはや「テレビは茶の間の王様」という時代は
終焉しているのではないか。

  テレビ事業に一貫生産というビジネスモデルはもはや通用しないと悟ってアセット
ライト(資産の圧縮)による設備投資負担と固定費の縮小に舵を切れるか、日本の
弱電系家電業界は岐路に立たされているのです。


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