情報のコーディネーター 第73号
平成23年10月24日発行
窮すれば通ず。 情報こそ反転の力なり。 コトバで心の壁を破れ。
今回の目次
□ スティーブ・ジョブズのどこが凄いのか
□ スティーブ・ジョブズのどこが凄いのか
今はときめくアップル社のCEOスティーブ・ジョブズ氏が、10月5日に56歳の若さで
逝去されました。 スティーブ・ジョブズ氏はIT界のカリスマとか天才と呼ばれて
いますが、どこがそんなに凄いのでしょうか。
アップル社はジョブズが1976年に創業したパソコンやソフトのメーカーですが、
アップルが開発したOSを搭載したハードとソフトが一体のパソコン(マッキントッシュ、
通称マック)のシェアは3%に過ぎません。 残りの97%のパソコンはマイクロソフトの
ウインドウズというOSを搭載しているのです。
マックはカラー処理に優れている為、印刷会社、広告業界、デザイン事務所などで
根強い支持があるものの、マックのシェアはわずか3%ですからこれだけではIT界の
カリスマと呼ばれるのは納得出来ません。
現に、ジョブスは設立から9年後にアップルを去っています。
それから12年後の1997年にアップルに復帰し、ジョブズの本領が発揮されるのはここ
からと云っていいのです。
2001年に発売した「iPod」が爆発的なヒットとなり、瀕死の状態にあったアップルを
立ち直らせます。
iPodは携帯用音楽プレイヤーで、これはソニーのウォークマンの競合商品でした。
しかし、ウォークマンはその後も売れ続けています。
今では初期のウォークマンと違いパソコンから音楽を取り込めますし、音量はiPod
よりいいということで十分戦えているのです。
アップルは2007年に「iPhone」、2009年に「iPad」を発売し、これも大ヒットとなります。
この成功によりアップルの時価総額はエクソン・モービルを抜いて世界一になるのです。
「iPhone」は多機能携帯電話でパソコンの機能を搭載しています。
日本の携帯電話も高機能性で世界トップクラスであったにも拘わらず、世界で売れず
世界標準とはなり得ませんでした。
このように日本国内で独自に進化して行くことを皮肉を込めてガラパゴス化と云い
ます。 「iPhone」が出て、日本製携帯電話のガラパゴス化は決定的となったのです。
「iPad」は携帯電話機能を外し画面をワイドにした使い勝手のいい携帯パソコンで、
使い道については購入者それぞれに考えさせるような商品です。
しかし、「iPhone」も「iPad」も取立てて大発明という訳ではありません。
要するに消費者に新しいスタイルや使い方を発見させるような商品なのです。
これはどこかジャパンアズナンバーワンと云われていた頃の日本メーカーの戦略と
似ているところがあります。
アメリカは日本のメーカーに負けて、モノづくりは駄目なのように云われた時期があり
ましたが、アメリカに元々あったモノづくりの精神がスティーブ・ジョブズという人によって
蘇えて来たような印象を受けるのは私だけでしょうか。
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