情報のコーディネーター 第64号
平成22年7月22日発行
窮すれば通ず。 情報こそ反転の力なり。 コトバで心の壁を破れ。
今回の目次
□ ソーシャルビジネスって何?
☆ グラミン銀行のマイクロクレジット
☆ 究極の社会的責任
□ ソーシャルビジネスって何?
☆ グラミン銀行のマイクロクレジット
ムハマド・ユヌスにより1983年に創設されたグラミン銀行がバングラデシュにあります。
グラミンとは農村という意味で農村部の貧しい女性が主な貸付先です。
これまで銀行が貸さなかった貧困層に少額なローンを無担保かつ低利で貸す
(マイクロクレジットという)ところに特徴があり、その目的も貧困層の自立を支援して
貧困から脱却させることにあります。
このような事業をソーシャルビジネスといい、欧米を中心に盛んになっていますが、
グラミン銀行はその先鞭を付けた企業なのです。
ユヌスは2006年、ソーシャルビジネスのひとつマイクロクレジットという手法を構築
した功績によりノーベル平和賞を受賞しています。
ユヌスは元々バングラデシュ大学の教授であったが教えていた経済学という学問が
あまり社会に役立っていないことに嫌気が差して、教室を出て近くのジョブラ村の貧困
問題の調査をしていた時、マイクロクレジットの構想を得たといいます。
ところで、マイクロクレジットはどうのように貧困層の自立に役立っているのでしょうか。
ユヌスが最初に始めた融資というのはこんなものでした。
それまでジュブラ村の女性達は仲買人から材料を貰い竹細工を作ってささやかな
賃料を稼ぐ内職をしていました。
そこでユヌスは材料を購入する資金を融資すれば、竹細工を自分で売ることで賃料
より遥かに多い収入が得られると考えたのです。
つまり、女性達を自営業者に育てれば自立が図れると思ったのです。
ユヌスの考えは見事に当たり、グラミン銀行は成功しました。
現在、利用者は787万人を超えその内97%は女性で、80億7000万ドルを貸付けて
返済率は97.86%であるといいます。
しかも、グラミン銀行の総資産の90%は利用者の預金なのです。
☆ 究極の社会的責任
日本企業も生き残りを掛けてグローバル展開を図ろうとしています。
しかし、日本を一歩外に出るとそこには貧困な人々が何億と暮らしています。
企業に社会的責任があるとすれば、こおいう人々をただ見ているという訳には
いかないのです。
ソーシャルビジネスというのは21世紀資本主義の究極の姿として出るべくして
出て来たのです。 欧米ではどんな社会的貢献をしているかと必ず問われる
といいます。
ソーシャルビジネスには収益の殆どを現地の事業拡大に回して本国に利益を
還流させないタイプも現れています。
例えば、フランスのダノン社(グラミンとの合弁会社がバングラデシュでヨーグルト
を製造販売)、フランスのベオリア社 (グラミンとの合弁会社が水浄化事業)、
イギリスのユニリーバ社(インドの農村女性によるシャンプーなどの販売を支援)が
あります。
日本にもそんなタイプの企業が現れました。
不景気のなかTシャツのユニクロを展開しているファーストリテイリングが99%出資して
グラミン銀行との合弁会社をバングラデシュに設立して、農村部の女性に衣類を1ドル
以下で販売させて自立を支援するといいます。
日本では高金利の消費者金融に低所得層が群がって多重債務問題を発生させ
ましたが、アジアの西の方では全く次元の違う独創的かつ社会的発想の金融が
起こって世界に広まろうとしているのを目にしますと、同じ人間でも考えることがこう
も違うものかと思います。
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