情報のコーディネーター  第63号
         
    平成22年7月1日発行
          窮すれば通ず。 情報こそ反転の力なり。 コトバで心の壁を破れ。

               今回の目次
        □ 司法改革が進まない理由
           ☆ 司法制度改革審議会の提言から10年
           ☆ 弁護士も発想転換を



   □  司法改革が進まない理由

      ☆ 司法制度改革審議会の提言から10年
 司法制度改革審議会が2010年を目途に司法試験合格者を年間3000人にする
と提言してから、10年が経過しようとしています。
 しかし、現在の合格者は2000人に留まっており、日弁連に云わせるとそれでも
多すぎるといいます。  法曹界では今一体何か起きているのでしょう。

 今年の4月に宇都宮健児弁護士が日弁連会長に就任しました。
宇都宮氏が云うには、最近では司法修習を終えた新人弁護士の中に法律事務所に
就職出来ない人がいて、法律事務所のスペースだけを借りる「ノキ弁」や最初から独
立する「即弁」が増えているそうです。 
  
 なぜかと云いますと訴訟が増えていないので、法律事務所がイソ弁を増やせない
というのです。   新人弁護士はボス弁の下でイソ弁を6、7年経験し弁護士実務を
磨いてから独立するのがこれまでの定石でした。  イソ弁の機会がなかったら、
どうやって実務を学ぶのだろうかと思ってしまいます。

 10年前の時は、司法により解決するのは2割、つまり「2割司法」などと云われていま
した。  とにかく欧米に比べて弁護士の数が極端に少ないから、まずはフランス並
を目差し年間3000人に増やそうということになったのです。

 しかし、10年経って見ると司法基盤の整備が進まず、法的需要の方もさっぱり増え
ていない状況がある訳です。   進んでいない司法基盤とは、要するに弁護士費用
が支払えない人の為の民事法律扶助制度のことのようです。  

 最近はインターネットで法テラスというサイトが公開されていて費用の立替え制度も
ありますが、まだまだ利用しやすいところまでは行っていないのです。


    ☆ 弁護士も発想転換を
 宇都宮弁護士は「30年間多重債務問題と関って来て社会的弱者を救済する弁護士の
数が足りない」と感じているといいます。  消費者トラブルを専門にしている弁護士は
殆どいないのではというのが私の偽らざる実感です。  それをやっている弁護士がい
ると仙人扱いする風土があるのです。  

 その一方で、弁護士法第72条の「法律事務」を狭く解釈する立場に縛られていて、
法律事務所がパラリーガルを積極的に活用出来ず、その結果、消費者トラブルのよう
な低額案件は法律事務所で受けて貰えないという事態が起こっているのです。

 消費者トラブルには内容証明郵便1本で解決出来るものが沢山ありますし、
こおいう案件はパラリーガルにどんどんやらしたらいいと思うのです。 
行政書士などの有資格者をどしどし採用して事務所を大きくしたらいいと思う。 
現在でも弁護士一人で何でもやっている誠に効率の悪い事務所が圧倒的に多いらしい。
 
 弁護士需要を掘り起こすには弁護士自身の発想転換が必要なのです。
司法基盤の整備も大事であるが、弁護士の意識変革がないと消費者トラブルで泣き
寝入りする人が何時までも減らないことになります。

 「サルでもできる弁護士業」の著者西田研志弁護士も云っているように、
弁護士法第72条の狭い解釈で自らの首を絞めるようなことから早く脱却することが
需要喚起の大前提だと思う次第です。
 

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