情報のコーディネーター  第56号
         
 
       平成21年8月17日発行
          窮すれば通ず。 情報こそ反転の力なり。 コトバで心の壁を破れ。

               今回の目次
        □ 宗教はなぜ必要か
           ☆  うつを救ってくれる
           ☆  内村鑑三という人



   □  宗教はなぜ必要か

      ☆ うつを救ってくれる
 有名な俳優さんがうつになったというの話を、テレビでよく聞くことがあります。
昔は人に話せなかったうつ病も今では、ホピュラーな普通の病気です。
実際、この病気は薬で治る病気でガンのような死に至る病ではないのです。

 それにしても俳優さんとか能力のある人がなぜうつになるのでしょうか。
色々学問的な説明は可能でしょうが、一つの考えとして自分の力に頼り過ぎるから
ではないか・・・・。

 現代は自己実現こそが最大の幸福とされる時代です。
自分で目標を立てその目標を目差すことに人生最大の意義があるとされます。
それ自体は決して間違いではないのですが、その目標が必ず達成されるという
保証がないのもまた人生です。

 逆に自己実現を一体どれ程の人が達成しているのだろうかと思いたくなります。
うつという現代病はこの自己実現という価値観と密接不可分の関係にあるような気が
します。 

 自己実現に中々至らない故のストレスを抱いている人の方が圧倒的に多いのでは
ないでしょうか・・・・。
 結局、うつになる人というのは、その挫折感が人一倍に強かったり潔癖で真面目で
勤勉な人なのだろうと思います。
                      
 ではどうすれば、うつから救われるのでしょうか・・・・。
それは宗教しかないと思われます。

 キリスト教では神に祈れといいます。 自己実現ということも自分の中にある神が
齎してくれるものだとされます。 自分だけの力に頼ることを捨てるのです。

 捨てるということは行きつくところまで行かないと起こらないものかもしれません。
逆に挫折感の強い人ほど宗教の近いところにいると云えます。

 心の底から助けて欲しいという願いは、祈りそのものです。
そおいう祈りが自然に湧いてきたら、もう宗教の中にいます。
祈りに祈ること、これが最もうつを救う方法になるというのが私の考えです。


     ☆  内村鑑三という人
 神を考えていたら内村鑑三が懐かしくなって、「回想の内村鑑三」を読み返して
いました。   若い頃に内村の薫陶を受けた人が、戦後の平和日本の指導者に
沢山なっています。 この本はそういう人の回想録です。

 内村鑑三という人は、戦後にその評価が著しく高まった明治の思想家です。
内村鑑三によってキリスト教徒が増えたという話はありませんが、
影響力にはもの凄いものがあります。 

 内村鑑三は軍国主義とか忠君愛国といった戦前の価値観を否定して、人格とか
民主主義とか平和主義とか戦後に当り前になった価値観を持っていた人です。

 内村は明治国家のあり方を一貫して批判し続けましたから、中傷や誤解に絶えず
晒されていたと思います。 しかし、内村の精神が崩れることはありませんでした。
それはキリスト者としての強い信念があったからなのです。
                     
 日本人でキリストを見たものは内村ただ一人だと云う人もいます。
しかし、内村は死の直前に「私は十字架にすがる幼児に過ぎない」と云ったそうです。
内村のような巨人でも神にすがっていたのです。
                 
 戦後、内村の価値観がやっと日本にも定着しました。  しかし、人の悩みが
なくなった訳ではなく、逆に自由になった分だけ増幅している面があります。
神にすがることで救われるという人間本来の姿は変わっていないのです。
                    
 キリスト教の教義には人間の罪とか日本人に馴染み難い側面もあります。
しかし、基本的には浄土宗のように他力本願の宗教です。
救われる為の何の条件も要求されません。 

 神にすがれば神は一方的に救ってくれるのです。
こんな有難いこともないではありませんか。
  

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