情報のコーディネーター  第53号
         
 
       平成21年6月4日発行
          窮すれば通ず。 情報こそ反転の力なり。 コトバで心の壁を破れ。

               今回の目次
        □ アメリカ夢物語〜GMの場合
           ☆ 草創期の二人の人物
           ☆ 事前調整型破綻で軟着陸



  □  アメリカ夢物語〜GMの場合

     草創期の二人の人物
  GMがデトロイトのフリントで創業されたのは、1908年のことです。 
今、ガソリン車から電気自動車へ転換されようとしていますが、101年前というのは
馬車から自動車に切り換わろうとしていた時代でした。

 その頃、エナメル塗膜の技術が当って大金を手にした配管業者のビュイックという人が、
1902年から自動車の生産と販売を初めていました。
しかし、自動車はさっぱり売れず、会社をデュラントという人に10万ドルという破格の
値段で売却してしまいます。 

  デュラントは元々が馬車製造業でした。 デュラントは買収と合併により会社を
大きくして、GMの基礎を築きますが彼もまたGMを追われることになります。
                       
  GMの正史は必ずデュラントから始まりますが、この創業者の晩年は無一文だった
といいます。 一方、ビュイックの方はデトロイトの商業学校の教師で一生を終えます。
しかし、ビュイックという名は残って今日までGMを代表する人気ブランドとなりました。

  25年前、GMはビュイックの一大生産拠点をフリントに建設し、一時8万人の従業員
が働いていました。 しかし、90年代に入ると日本や欧州の小型車に押されて、
徐々に閉鎖されて行き今ではスローン博物館のみが往時を偲ばせています。


   ☆ 事前調整型破綻で軟着陸
  GMは従業員の医療保険や退職者への企業年金が充実しており、
本来国家のやるべきことをやっていた会社でした。 
しかし、その負担も膨大になり過ぎてGMの収益を圧迫するようになっていました。 

  2009年6月1日、GMはついにアメリカ連邦破産法第11条の申請をしました。  
GMの資産は910億ドルなのに対して、負債総額は1728億ドルという途轍もない債務
超過です。  アメリカ製造業史上、最大の破綻となりました。
                       
  アメリカ連邦破産法第11条というのは、日本の民事再生法にあたります。 
これは債権者に債務の大幅な減額をお願いして、再生を図る為の手続きです。
債権者にとってもGMが消滅するより再生された方がいいに決まっています。

  そこで、GMは関係者と事前調整を行っていましたが、最大のネックと云われた
労務費の削減ではUAWと合意し、また債権者からも新生GM株の25%を提供すること
を条件に削減の合意を取り付けました。

  この結果、3ヶ月位でこの破産手続きが完了して、新生GMがスタートすることになります。
GMの再建計画に拠れば、新生GM株式の60%を米政府が、12%をカナダ政府が、17.5%を
UAWが保有することになり、要するにGMは国営化されるということです。

  新生GMでは従業員は35%減って4万人となり、販売台数も世界4位の600万台まで落と
されます。
幸い事前調整型破綻の効果として、株式市場にGMショックは起こりませんでした。

 でも、国家管理となった企業がみごとに再生したという例はあまりないのです。
GMの再生は茨の道ですが、消費者のニーズに応えた売れる車を作れるかこれに
全てが掛かっています。


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