情報のコーディネーター  第52号
         
 
       平成21年5月3日発行
          窮すれば通ず。 情報こそ反転の力なり。 コトバで心の壁を破れ。

               今回の目次
        □ 変われるか弁護士業界
           ☆ 「サルでもできる弁護士業」という本
           ☆ 弁護士業務代行ソフトの話



  □ 変われるか弁護士業界

     「サルでもできる弁護士業」という本
 西田研志弁護士の「サルでもできる弁護士業」(幻冬社)を一気に読みました。
近時の内幕物でこれ以上面白い本を私は最近読んだことがありません。
一刀両断に弁護士業界を斬っています。

 今や弁護士が毎年3000人も誕生する時代です。 ほんの少し前までは僅か500人
でした。 パイがそう増えないとしたら弁護士事務所が全て抱え込める訳もなく
就職出来ない弁護士、食えない弁護士が出て来くるのは当然の話です。
 
 その意味では、この本は出るべくして出た本なのです。
それにしても自己否定には凄まじいものがあります。
日本をダメにしたもっとも大きな元凶は弁護士だと言い切っています。
                      
 これまでの弁護士は、まことに敷居が高く庶民の味方でもなんでもなかったのです。 
消費者トラブルを扱う弁護士などはごく少数で、たまにいると弁護士仲間からは仙人扱い
されていました。 

 1件あたり100万円以上の報酬が入る案件のみを年に30件程度こなすというのが、
弁護士の平均像だったのです。
消費者トラブルに巻き込まれ法的サービスを必要とする1千万という人々がいるのに、
低額な案件という理由で見て見ぬふりをして来たと、西田弁護士は弾劾しています。
                      
 西田弁護士によって白日の下に晒された弁護士の実態は前々からそうではないかと
思われていたものですが、弁護士界の内部にいる人からこのように告発された例は
今までなかったと思います。

 先進国で日本ほど悪徳商法が蔓延る国は他にないらしい。
こうなった一因は日弁連による弁護士法第72条の「法律事務」の解釈にあるという。

 つまり日弁連は事件性不要説に立っていて、弁護士による法律事務の独占が基本
スタンスなのです。  
その結果、弁護士事務所ではパラリーガルを多く使えず、これが低額案件を受けられ
なくしている原因だという。

 日弁連の事件性不要説はもはや破綻しているのです。
法務省や検察庁の実務では、ずっと前から事件性必要説に立っています。
弁護士は欧米先進国が実際そうであるように訴訟事務の独占で十分なのです。

 訴訟以外の法律事務は基本的に誰でも出来るようにするという自由化の要望が、
弁護士の内部からも噴出し始めたのです。 
その先鞭を付けた本が、「サルでもできる弁護士業」なのです。


    ☆ 弁護士業務代行ソフトの話
 アメリカには弁護士業務を代行するソフトがあって、並みの弁護士よりいい回答を
出すらしい。 大前研一が著書「ハイコンセプト」の中で、弁護士は今後要らなくなる
業種だと云っています。 
  
 西田弁護士も同様のことを云っていましたが、これは少々極論だと思います。
実際、債務整理などはマニュアル化してパラリーガルでも十分対応可能なものです。
しかし、弁護士でなければという分野はやっぱりあります。

 結局、そおいう高度で複雑な分野は弁護士がやるとして、それ以外のマニュアル化
やソウト化が可能な分野は、隣接法律専門職やパラリーガルに開放されるという流れ
になるのではないか・・・・・。

 結局、専門性を持った弁護士しか生残れない時代が来たのです。
折角ロースクールを卒業しても弁護士では食えなくて会社法務とか政界などに進出せ
ざるを得なくなるでしょう。 
 世間の荒波に揉まれながら自分の専門性見つけて弁護士になるというコースを
辿ることになるのでしょう。


   ※ ご感想・ご意見をお寄せ下さい。
      →メールアドレス
:redume@jcom.home.ne.jp




    発行者  :  行政書士田中 明事務所
  〒239-0822  神奈川県横須賀市浦賀5丁目42番11号
             TEL・FAX 046−843−6976
    マガジン説明用Webページ : http://lantana.parfe.jp/melkakez01.html
     内容証明郵便でブレイク! : http://lantana.parfe.jp/   
    インターネット法務支援室  : http://lantana.parfe.jp/seotope