子孫への最高の贈り物
〜巻物家系図を残しませんか 第44号
平成20年9月4日発行
今回の目次
□ 配偶者又は養親の死亡と氏の変更
□ 姻族関係の終了について
□ 配偶者又は養親の死亡と氏の変更
前回に続いて、氏の変更についての実務編を書きます。
古い除籍謄本を仕事柄よく見ますが、
「夫の死亡により婚姻解消」という記載を時々目にすることがあります。
これは、戦前の家制度時代のものです。
つまり、長男の嫁に子供が生れる前に夫が亡くなったという場合、
婚姻を解消して嫁は実家の戸籍に復籍するということがあったのです。
現在の戸籍法では、配偶者が亡くなると婚姻は当然に解消されますが、
といって夫の死亡により妻が除籍されることはありません。
ただ、残存配偶者の意思表示により婚姻前の氏に復することが出来ますし
(民法751条第1項)、姻族関係も終了させることが出来ます(民法第728条第2項)。
※ なお離婚の場合は、離婚成立と同時に姻族関係も終了します(民法第728条1項)。
復氏するが姻族関係は継続させることも、逆に復氏しないが姻族関係は
終了させることも、残存配偶者は自由に選択できるということです。
逆に残存配偶者の意思に従いますから、姑とか死亡した配偶者の親族からは
姻族関係を終了させることは出来ないわけです。
また、残存配偶者が姻族関係を終了させ復氏したからと云って、
相続iには一切影響しません。
次に、養親が亡くなった場合ですが、
養子縁組は当然に解消される訳ではありません。 養子縁組を解消する(つまり離縁)
には、家庭裁判所の許可を得る必要があります(民法第811条第6項)。
家庭裁判所の許可により離縁が認められて、
やっと縁組前の氏に復することが出来るのです(民法816条第1項)。
この場合の復氏は、養子の意思に関係なく離縁の届出があると当然に
なされます。
□ 姻族関係の終了について
姻族関係とは、結婚によって親戚になる人々、つまり配偶者の親や兄弟などとの
関係をいいます。
離婚するとこの姻族関係も解消されます。 しかし、配偶者が亡くなった場合には
この姻族関係が当然に解消されないことは既に述べました。
この結果、配偶者の父母や兄弟姉妹の扶養義務は残ることになります。
この義務から解放されたい残存配偶者については、姻族関係を終了させる意思表示、
つまり姻族関係終了届を提出しなさいというのが民法の立場なのです。
尤も姻族関係終了届を提出しても戸籍はそのままです。
残存配偶者が妻の場合、復氏届を提出することで、妻は除籍されて新たな戸籍が
編成されることになります。
復氏について整理しますと、
離婚の場合 → 離婚届の提出により復氏する。
配偶者の死亡の場合 → 復氏届の提出により復氏する。
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