子孫への最高の贈り物 
      〜巻物家系図を残しませんか
 
 
 第43号
                  平成20年7月17日発行

            今回の目次
        □ 子連れの親が養子縁組すると子の氏は・・・
        □ 子の氏の変更



   □ 子連れの親が養子縁組すると子の氏は・・・

 三浦地方は梅雨明け前なのに真夏日が5日も続いています。

さて今回は、戸籍と氏(うじ)にまつわる実務的なことを書きます。
子供のいる離婚女性から相談がありました。
「 私が養子縁組をすれば養親の氏を称することになるが、子供の氏はどうなるの
ですか。 学校の関係で子供の氏は変えたくないのです」

 世間一般には親が養子縁組をすれば子も養親の氏に変わると考えている人の方が、
多いかもしれません。 
しかし、戸籍法や民法のどこにも父母の氏が変われば子の氏もそれに伴って
変わるなどとは書かれていないのです。 
                     
 では、なぜ子の氏は変わらないのでしょう。 
それは、戸籍法と民法の条文解釈及び戸籍実務からそうなっているのです。
以下に分かりやすく整理します。

イ 養子縁組をすると、養子は養親の戸籍に入り、養親の氏を称します。
       (戸籍法第18条第3項、民法第810条)

ロ 子連れの離婚女性が養子縁組すると、女性は旧戸籍から除籍され養親の戸籍に
  入籍します。  しかし、子はそのまま旧戸籍に残されます
                        ↓
            その結果、子の氏は変更されません。

ハ 養子が婚姻している場合は、その夫婦については新戸籍を編成されます
  
(戸籍法第20条)。 新戸籍を編成する際、父母は旧戸籍から除籍されます。
  しかし、子はそのまま旧戸籍に残されます。
             
   なお、養子が婚姻によって相手の氏に改めている場合は、縁組前の氏を名乗り、
  新戸籍は編成されません(民法第810条但書)。 当然、子の氏は変わりません。

 以上から、子連れの親が養子縁組又は婚姻をしても、
子連れの子は旧戸籍から除籍にならず、
その結果として子の氏は変わらないのだということになるのです。

    □ 子の氏の変更

 摘出である子は、父母の氏を称するとされます(民法第790条)。 
しかし、子連れの親が再婚又は養子縁組した場合、
父母の氏と子の氏が異なる結果となることがあります。

 そこで、子連れの子の氏を父母の氏と合致させたい場合はどうするのでしょうか・・・・。
民法では、原則として家庭裁判所の許可により氏の変更が出来るとしています(民法
第791条第1項)
。  

 ただし、父母が婚姻中に限っては、例外的に届出のみでの変更を認めています。
つまり、市町村長に届出ることで、子は父母の戸籍に入籍し父母の氏を称することが
出来ます(民法第791条第2項)。
                    
 離婚している母親が養子縁組した場合、 子の氏を父母の氏に変えるには家庭裁判所
の許可を貰うか、又は母の再婚相手と子が養子縁組を結ぶ必要があります。 

 実際には、後者の方法を選択することが多いようです。 
というのは、未成年の子の養子縁組は家庭裁判所の許可がいるのですが、
自己又は配偶者の直系卑属を養子にする場合に限り家庭裁判所の許可は要らないと
しているからです(民法798条)。


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