情報のコーディネーター  第144号
     
           令和4年2月13日発行
           窮すれば通ず。 情報こそ反転の力なり。 コトバで心の壁を破れ。

                      今回の目次
               □  若者のスキー離れについて


  若者にスキー離れが起きていると聞きます。

  1998年に1860万人もいたスキー人口が2020年では270万人まで減っており、最盛期に
661箇所あったスキー場が次々と閉鎖され今では442ヶ所になってしまっていると、聞けば
そうかと思いたくなります。

  しかし、私から見ると、国民の約15%がスキーヤーという方が過剰で、270万人
位(2.25%)が普通ではないかと思うのです。

  これくらいの愛好者がいるスポーツは他に水泳くらいであって、野球、サッカー、
テニス、ゴルフになるとずっと少ない筈です。


  スキーは、戦前まで皇族とか特権階級のスポーツでした。
それが国民の約2割を占める程にスキー人口が膨張したのは、戦後の高度経済成長期に
開催された札幌オリンピック(1972年)前後に若者の心を掴み熱波のように波及していった
からだと私は考えています。

  私は札幌オリンピック(1972年)前後に札幌にいましたから、50年前の夢のような雰囲気
を覚えています。

  前回のグルノーブル大会(フランス)の記録映画(題名は「白い恋人たち」)が大ヒットし、
その主題曲がスキー場でいつも流されており、オリンピックムードを高めていました。

  札幌大会ではジャンプノーマルヒルの笠谷氏が金メダルを取って大いに盛り上がり、
これを機に冬季オリンピックの国民的な関心が一気に高まったのです。

  それまで、スキーやスケートはヨーロッパのスポーツであって、体格で劣る日本人が
勝てるスポーツとは思われていなかったのです。

  冬季五輪のメダリストと云えば、回転で銀の猪谷千春氏のみでした。
しかし、千春氏は日本スキー界の草分け的存在の父から天才教育を受けた人で、育った
環境が全く違う例外的な人だと見られていました。

 
  札幌オリンピックのテーマソング「虹と雪のバラード」と記録映画も大ヒットして
雪山への憧れを誘い、冬にはスキーバスで都会からスキー場へ行くことが若者の
ファッションになったのです。

  私は1970年代に東京からスキーバスで志賀高原などに毎年行きましたが、北海道の
スキー場に較べて華やかな雰囲気があり、集まるとスキーの話で尽きず、若者のファッ
ションの一部になっていると実感したものです。

  しかし、ファッションは時代の変化に逆らえず、あっという間に廃れていったものが
沢山あります。
 
  スキー人口が減ったとはいえ、まだ270万人のスキーヤーがおり、その中にはスノー
ボードの人もかなりいるでしょう。

  その一方で、バックカントリースキーの愛好者も増えつつあり、ただのファッション
とは違う本当のスキーに目覚めた人が増えているのも事実です。

  バックカントリースキーとはリフトを下りてから更にその背後の山を登り、頂から雪山
を滑り下りるスキーで、いわゆる山スキーです。

  高度経済成長期の若者が憧れたのは、スキーが醸し出す華やかなファッション性
だったと思います。

  しかし、ヨーロッパでアルペンスキーが生まれた時は、そんなファッション性とは無縁
な山の生活と溶け込んだ素朴な生活文化のひとつだった筈です。

  スキーの速さと技術を競い合うスポーツ的なものではなく、家族や地域の人と一体感
を暖めあう素朴な文化だった筈です。

  若者の間で車離れが進んでいますが、それもスキーと同じで車がファッションだった
からです。

  長期のデフレが若者からバブル的なスキー人気を覚めさせ、バックカントリースキー
という本物のスキーを志向させたのです。


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