情報のコーディネーター  第126号
     
         平成31年6月21日発行
           窮すれば通ず。 情報こそ反転の力なり。 コトバで心の壁を破れ。

                    今回の目次
                 □ 赤字国債の正体

  財政危機だと云われながら、円建てなら赤字国債を幾ら発行しても財政破綻しないとする
MMT(現代貨幣理論)が注目されつつあります。

  国債には典型的な国債(普通国債)として、赤字国債と建設国債があります。

  赤字国債は、政府の歳入が歳出より少ない時に発行して歳入の不足を補う為の国債で、
1年限りの特例公債法を制定して発行する特例国債です。

  これに対して、建設国債は道路や住宅や港湾等の社会資本の建設の為に財政法第4条
に基づく国債です。

  さて、政府が財政危機だとを叫ぶのは、赤字国債残高1000兆円超という国民への借金が
孫の代にまで重い負担として残ると考えるからです。


  しかし、MMTが財政破綻などしないとするのはどういう理由からなのでしょうか。


  国債を買うのは民間の銀行ですが、政府は民間の銀行に当座を開設していないので、民間
の銀行に直接売ることが出来ません。

 しかし、民間の銀行は日銀(政府の子会社)に当座を開設しているので、政府は銀行保有の
日銀当座預金(準備預金)を使って国債を銀行に買わせるのです。

 つまり、銀行が国債を買う時の資金は、手元の預金ではなくて日銀当座預金なのです。

  銀行が国債を買うと、銀行の日銀当座から政府の日銀当座に代金が振替えられ、そこから
政府の歳入に充てられるのです。

  その一方、日銀は金融緩和策(買いオペ、政府の日銀当座預金を使って銀行保有の国債
を買う)により、その代金は銀行の当座預金通帳に預金として記帳されます。

 買いオペも預金の発生(通貨の発生)がある点で銀行の貸付と同じ信用創造なのです。

 買いオペの結果、赤字国債の元本と利息の支払負担は消えてなくなります。
親会社と子会社の貸し借りなので、連結決算で相殺されてしまうからです。


  であれば、赤字国債残高1000兆円という公表にどんな意味があるのでしょうか。

  もともと、市中銀行の日銀当座預金は、日銀が民間銀行への貸出の際に対し信用創造した民
間預金の一部(準備預金)です。

 準備預金は、銀行の貸出額を調整してインフレを予防するにあり、民間への貸出は出来ません。

  日銀は金融緩和策(買いオペ)により準備預金を膨大な額に増やし低金利に導いて市中銀行の
貸出を容易にしてインフレに転換しようとしましたが、国債購入に消化されただけで、民間への貸出
は増えませんでした。

  市中の貨幣供給量は、民間の資金需要が高まって銀行の貸出が増えなければ増えないのです。

  企業は投資せず消費者は預金を増やそうとするデフレ下で、資金需要(投資と消費)を高める
には、赤字国債をもっと増発し政府の公共投資を増やすしかないのです。

  日本の20年に及ぶデフレは、主流派経済学が間違っていることの証拠です。

  主流派経済学が否定したケインズ政策こそがデフレ対策に最も必要なのであり、MMTとはケイン
ズ理論を日本の長期デフレの最後の切り札として復活させる主張なのです。

 
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