情報のコーディネーター 第124号
平成31年2月3日発行
窮すれば通ず。 情報こそ反転の力なり。 コトバで心の壁を破れ。
今回の目次
□ 北方領土交渉は原点に戻れ
北方四島のロシアによる占領は、ヤルタ密約(1945年2月11日)に始まります。
ルーズベルトとチャーチルとスターリンが、ソ連の対日参戦の条件として南樺太と千島列島の領有を
密かに合意していたのです。
しかし、アメリカ上院はサンフランシスコ講和条約の批准(1951年)の際、ヤルタ密約の項目は条約
に含まないと決議しました。 また、1956年に、アイゼンハワー大統領は「ヤルタ密約はアメリカ政府
の公式文書ではなく無効である」と表明しました。
つまり、ヤルタ密約は当事国の国会の批准を受けていない単なる軍事協定に過ぎないのです。
更に、ロシアの北方四島占領に日本が関与していないので、「当事国の関与しない領土の移転」に
当り国際法違反ですし、「領土不拡大の原則」を謳った大西洋憲章にも違反しています。
次に、サンフランシスコ講和条約第2条で「日本は南樺太と千島列島を放棄する」と規定されてい.る
ものの、第25条では「ここに定義された連合国でない国に対して権利、権限又は利益を与えるもので
はない」と規定されています。
つまり、ソ連はこの連合国に当りませんから、本条約に署名した46ヶ国は千島列島のソ連領有を認
めていないのです。
ロシアはサンフランシスコ講和条約第2条を北方四島占領の根拠としますが、サンフランシスコ講和
条約がロシアに適用されると、連合国に含まれないロシアによる北方四島占領が第25条により否定
されますから、そもそも成り立たない主張なのです。
これらにより、ロシアの北方四島占領が不法占領であることは明白なのです。
そして、サンフランシスコ講和条約第2条で放棄した千島列島は、北千島列島のことであり、南千島
列島(北方四島)は含まれていないことは歴史的事実から明らかです。
つまり、日露間で1875年(明治8年)に樺太千島交換条約が締結され、樺太と得撫島以北の18島が交
換されていますが、ここでいう「千島」とは得撫島以北の18島(条文に一つ一つの島の名称が記載され
ている)を指しているのです。
一方、南千島列島(北方四島)の方は、これまで他国の領土であったことのない日本固有の領土とされ、
樺太千島交換条約で云う「千島」には含まれないというのが日露両国の共通認識であったのです。
このように見て来ますと、2島+アルファなどいう議論は全くナンセンスなものです。
ロシアの主張が間違っているのですから、日本は何も焦る必要はないのです。
ロシアが変わるまで待つべきです。
ロシアは輸出の7割が石油・天然ガス関連であり、政府税収の5割が石油・天然ガス関連なのです。
ロシアの将来はシベリアの資源開発なくして語れず、その為には日本の技術が喉から手が出るほど
欲しい筈です。
日本と共同でシベリアを開発するという発想こそ必要で、そうなった時、日露の共存共栄が可能
となり、北方四島も返って来ると考えます。
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