情報のコーディネーター  第108号
         
           平成28年9月30日発行
                  窮すれば通ず。 情報こそ反転の力なり。 コトバで心の壁を破れ。

                          今回の目次
                 □ 南関東直下地震と相模トラフ巨大地震

  南関東の地下を震源とするM7級の地震を、南関東直下地震と云います。

  南関東は北アメリカプレートの上にあり、その下に南からフィリピン海プレートが沈み込んでいて、更に
その下を東から太平洋プレートが沈み込んでいるという複雑な地下構造をしています。
 
 南関東直下地震は、フィリピン海プレートの内側、フィリピン海プレートと太平洋プレートとの境界、太平
洋プレートの内側に震源があるプレート内地震です。

  安政江戸地震[安政2年10月2日(1855.10.2)、M6.9]、明治東京地震[明治27年(1894年)6月20日]がこれ
に該当します。

  これまでに大きな被害が発生したのは過去220年間で安政江戸地震(死者7000人以上)だけです。

  しかし、南関東の地表近くに多くの活断層があり、厚い関東ローム層が覆っていることから、震源が
浅い場合には強い揺れを伴い、首都圏で起これば甚大な被害を発生させる恐れがあります。

  ミュンヘンの再保険会社の危険度ランキングでも、東京・横浜が710ポイントで1位、サンフラン
シスコが167ポイントで2位となっており、首都圏の災害リスクは断トツに高いのです。

  政府の地震調査研究推進本部は、「M7級の南関東直下地震は30年以内に70%の確率で発生する
と発表しています。

  これは古文書の記録をベースにしており、元禄関東地震と大正関東地震の間の220年間に平均27.5年
に1回の頻度で計8回、M7級が発生してしていたことに基づきます。

  一方、相模トラフ巨大地震は、相模湾から房総半島沖の海底に存在する相模トラフの北側の幅80キロ
~150キロの領域を震源域とするM8級のプレート間(海溝型)地震を相模トラフ巨大地震と呼びます。

  相模トラフとは海底にある谷状の地形のことで、フィリピン海プレートが北アメリカプレートの下に沈み
込むことで出来たもので沈み込みは今も続いています。
 
  首都圏は北アメリカプレートの上に乗っており、地下では南からフィリピン海プレートが年間約5センチ
ずつ沈み込んでいるのです。 

  この2つの境界にたまったひずみが一気にずれることで大地震が起こるのです。

  過去では、元禄地震[1703年(元禄16年)11月23日、M8.1~M8.5]、関東大震災[ 1923年(大正12年)9月
1日M7.9~M8.3]がこれに該当します。


  さて、東日本大地震の大津波(2011年3月11日)を見せ付けられているので、上記二つの地震では大津
波が発生しないのでしょうか。

  関東大震災は相模湾、神奈川県全域、房総半島の南部を含む相模トラフ沿いの広い範囲が震源域で
したが、熱海で12m、鎌倉で8メートル、房総半島相浜で9.3メートルの大津波が発生しており、このタイプ
のM8級地震が起これば太平洋岸で最大で10mの津波が予想されます。

  しかし、東京湾内の津波について見ると、関東大震災で最大2メートル、元禄関東地震型で最大4メート
ルに留まりました。

  なお、関東大震災型の発生間隔は200年~400年で、30年以内の発生確率は0%~5%です。

  また、元禄関東地震型では神奈川県太平洋岸で最大20メートルの津波が予想されますが、この型の
発生間隔は2000年~3000年とされ、近い将来発生する可能性は高くありません。


  M7級の南関東直下地震は高い確率で発生が予測されますが、内陸のプレート内地震である為、過去
の地震でも津波被害は観測されていません。


  私は横須賀市浦賀に住んでいます。 近年、東京湾沿いの埋立地(平成町、海抜2メートル程度)に裁判
所、税務署、警察署、法務局などの役所が挙って移転して来ました。  

  横須賀市は東京湾の入口に突き出た三浦半島に位置し太平洋とも接しており、関東大震災型の地震
が起こればかって鎌倉で起きた8メートル級の大津波を予想しなければなりません。

  尤も、関東大震災級の発生頻度が高くないこと、発生確率の高い南関東直下地震の震源は内陸の為、
津波の危険は少ないと考えているようです。

  横須賀市の津波ハザードマップ」でも最大予測津波を10メートルとしています。

  浦賀地区の「津波浸水予測図」に拠れば、10メートルの津波で浸水が予測される浸水区域は浦賀、
久里浜などの湾内に沿った比較的狭い地域(標高10メートル~15メートル未満の地域)とされるに留まり
ます。

 

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