情報のコーディネーター  第107号
         
           平成28年9月7日発行
                  窮すれば通ず。 情報こそ反転の力なり。 コトバで心の壁を破れ。

                          今回の目次
                  □ ルーズヴェルト陰謀説について

 
  この暑い夏に「なぜアメリカは対日戦争を仕掛けたのか」(加瀬英明、ヘンリー・S・ストークス著)を
読みました。

 太平洋戦争は日本が真珠湾を奇襲したことで始まったとするのが通説です。
しかし、戦争を仕掛けたのはアメリカの方であり、日本はアメリカの罠に嵌ったのだとするのがルーズ
ヴェルト陰謀説です。

  ルーズヴェルトの日本に対する敵対工作は、昭和11年(1936年)から蒋介石重慶政府への大規模な
軍事支援として開始されます。  

  昭和13年(1938年)には航空機及びその部品を禁輸とし、翌年にはアルミニウム、マグネシウム、
モリブデン、航空用ガソリンのプラント、航空ガソリンの生産に役立つ考案、専門的情報を禁輸としま
す。

  昭和15年(1940年)には日本軍の南印進駐や日独伊三国同盟の成立を契機に、石油、鉄くず、ゴム
などの天然資源を全面禁輸とし、更に在米日本資産を凍結します。
 
 しかし、この時のギャラップの世論調査では、アメリカ国民の88%がヨーロッパ戦線への参戦に反対
していたのです。  当然、日本と戦争すべきだなどという空気は微塵もなかったと思います。

  一方、日本は石油の殆どをアメリカから輸入しており、石油の備蓄は2年分しかなかったのですか
ら石油の禁輸は戦争行為に等しい経済制裁であったと云えます。

  それまで日本はアメリカとの戦争を回避したいと考えていたのに、石油の禁輸辺りから俄かに日米
関係がキナ臭くなり始めます。

 日米ともに暗号解読をしていましたが、アメリカの方が一歩進んでおり、日本政府の動きを刻一刻
把握していました。 

  ルーズヴェルト陰謀説に拠れば、ルーズヴェルトは真珠湾攻撃を予知していたが、あえてハワイ
のキンメル太平洋艦隊司令長官などには知らせたかったというのです。

 12月7日早朝、ハワイのレーダーで大編隊らしい影を認めたのにハワイ海軍上層部からは見方機だ
とあっさり無視されてしまいます。

  日本の攻撃隊がハワイ上空に達した時、1機の戦闘機も上空に上がっておらず、淵田総隊長は
この時点で「トラトラトラ」(奇襲に成功せり)と打電しています。
 
  やがて、迎撃機が舞い上がり対空砲火は熾烈を極め、350機中29機が未帰還機となります。

  
  ルーズヴェルト陰謀説では、ルーズヴェルトはアメリカ国民を一気に参戦へ転換させる為、日本に
ハワイの旧式戦艦群を叩かせたのだとするのです。

  もはや航空機の時代であり無用の長物の戦艦は沈められても大して影響がなかったのに対し、
空母は守りたいということで真珠湾から出港させていたのだというのです。

  現代史家の秦郁彦氏は証拠がないとしてルーズヴェルト陰謀説を否定します。
しかし、状況証拠の積み重ねによってそうとしか考えられないという証明の仕方もあります。

  暗号の解読により日本の開戦への動きを逐次ルーズヴェルトが知っていたことは間違いなく、最後
通牒の「ハルノート」以後は日本海軍によるハワイ空襲も当然予見の範囲内であったと思われます。
  
  ただ、石油は蘭領インドネシア(オランダはドイツに降伏していた)と交渉すれば輸入出来たのです。
本当はハワイ奇襲など必要なかったのかもしれません。

  日本にはハワイ奇襲をせずに南方へ進出するという選択肢があったのです。  日本の南方進出の
目的は資源の確保の他に、イギリス、オランダ、アメリカ、フランスの植民地を解放して独立運動を
支援することでした。

  ハワイ奇襲がなければアメリカとの全面戦争にまで発展したかどうかは分かりません。

  ルーズヴェルトは日本の自滅行為となるハワイ奇襲まではして来ないと思っていて油断していた
ということはあり得ると思います。

  ルーズヴェルト陰謀説に拠れば、ハワイ奇襲で死亡したアメリカ人3500人の責任はルーズヴェルトに
あるということになりますから、今のところ少数説であり、ルーズヴェルト陰謀説を否定する論者からは
「歴史修正主義」と批判されています。




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