職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第96号
               平成24年3月4日発行
    職人型内容証明仕掛人が一発解決目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

               今回の目次
        □ 仮差押と確定判決の消滅時効との関係



  仮差押とは民事保全法に基づく裁判所の財産保全命令のことです。
債権者は目的財産の1割程度の保証金を供託して、訴訟提起時又は提起前で
あっても仮差押命令を出して貰うことが出来ます。

  不動産に対する仮差押命令に基づき法務局で仮差押の登記をしますと、
債務者は仮差押不動産の処分が出来なくなります。

こうして債権者は仮差押(予め債務者の財産を保全すること)をしておれば、
判決確定までに時間が掛かっても債権回収の万全が図れます。

  ところで、この仮差押は本訴訟の判決確定後もそのままにされていることがあり
ます。   しかし、確定判決の消滅時効が完成している場合に、仮差押との関係
については最高裁の下記判決て決着が付いています。

仮差押えによる時効中断の効力は、仮差押えの執行保全の効力が
存続
する間は継続する

「民法
147条が、仮差押えと裁判上の請求を別箇の時効中断事由と
規定しているところからすれば、仮差押えの被保全債権につき本案
の勝訴
判決が確定したとしても、仮差押えによる時効中断の効力が
これに吸収されて消滅するものとは解し得ない」

(平成101124日付最高裁判決 )

 即ち、仮差押による時効中断効は、訴訟による時効中断効とは
全く別箇に存在し、かつ、仮差押が残っている間は継続し続け再度
の時効は一切進行しないということが、同判決により確定したのです。



 次に、仮差押を取下げた場合は、以下の最高裁判決により
初めから時効中断効が生じなかったことになると解されます。

「債務者に対する民法
155条による被担保債権の消滅時効中断の効力が
生じた後、債権者が不動産競売の申立てを取り下げたときは、右時効
中断の効力は、
差押えが権利者の請求によって取り消されたとき(同法
154
)に準じ、初めから生じなかったことになると解するのが相当で

ある
(最高裁平成1199日判決)


  このように確定判決の消滅時効が完成していても仮差押があると時効援用が
出来ないことになります。

  しかし、仮差押というのは暫定的措置であって、債権者が債務名義を持ちながら
強制執行をしなければ、債務者が申立て仮差押命令の取消を求めることが出来ます。

  また、仮差押をしても債権者が提訴しない場合には、債務者は債権者に対する
起訴命令の申立が出来ますし、債権者が起訴命令に違反すれば、裁判所により
仮差押命令が取消されることになります。

  更に債務者には「事情の変更」「特別の事情」による仮差押命令の取消請求も
認められています。

 最高裁は、 債務者には仮差押を取り除く制度が保障されているのだから、上記
の判決は債務者に酷でないと考えているのです。

 
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