職人型内容証明仕掛人の方法論 ! 第90号
平成23年7月6日発行
職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。
今回の目次
□ 事業者の契約と支払い停止の抗弁
☆ 事業者の契約が商行為にならない場合
☆ 判例研究
□ 事業者の契約と支払い停止の抗弁
☆ 事業者の契約が商行為にならない場合
事業者又は会社がクレジット契約を締結して販売店に債務不履行があった場合、
販売店との売買契約が商行為になる場合には支払い停止の抗弁が出来ません。
一昔前なら事業者の契約、会社の契約と云っただけで商行為になると思われて
いました。
しかし、事業者が購入する商品には本来の営業と現実的な関連性がないものもあり
ます。
例えば、会社が従業員の控室に缶コーヒーの自動販売機を設置したとします。
これなどは福利厚生の一環として設置したのですから、営業の為ではなく商行為
にはなりません。
法人契約であっても営業の為か否かをよく見極めれば、商行為にならないで
支払い停止の抗弁で救われるケースが結構あると思われます。
☆ 判例研究
1 大阪高裁平成15年7月30日判決
会社の契約がクーリングオフ出来るかで争われた事案で
「自動車の販売・修理の会社が訪問販売業者と締結した消火器薬剤
充填整備、点検作業等の実施契約は、
消火器を営業の対象とする会社ではないので営業の為若しくは営業と
して締結したものではない」と判示しています。
消火器は消防法の目的から要求されるものであって、本件契約を営業の為
若しくは営業として締結されたものということは出来ないとしているのです。
これは特定商取引法の除外規定である「営業の為若しくは営業として締結
されたもの」についての高裁レベルの初判断を示したものですが、
割賦販売法第8条第1項の除外規定の「営業の為若しくは営業として締結
されたもの」の解釈にそのまま当て嵌まるはずです。
2 最高裁平成20年2月22日判決
砂の採取及び販売を業とする会社が友人に1億円を貸付た行為は商行為に
なるかが争われた事案で
「会社の行為は商行為と推定され、これを争う者において当該行為が当該会社の
事業のためにするものでないこと、すなわち当該会社の事業と無関係であることの
主張立証責任を負うと解するのが相当である。 ・・・・・・・
本件貸付けが上告人に対する情宜に基づいてされたものとみる余地があるとしても、
それだけでは1億円の本件貸付けが被上告人の事業と無関係であることの立証が
されたということはできず、他にこれをうかがわせるような事情が存しないことは
明らかである」として、商行為になると判示しています。
本最高裁判決は事業と無関係であることの立証がどの程度のものであれば
いいのかは示していません。
さて上記1の大阪高裁判決は上告されなかった為、最高裁の判断は分かりません。
しかし、最高裁も大阪高裁の判断と違わないのではないか。
というのは、「商行為」から「営業の為若しくは営業として締結した取引」に訂正
した背景として、商人の行為でも営業と無関係な取引には消費者と同じ保護を与えるべ
きであるという要請があったからです。
とすれば、消火器のように営利目的でなく消防法に基づき設置するような取引は営業と
無関係であるとして、営業の為若しくは営業として締結した取引に当たらないと
するのが法の趣旨だと思うからです。
※ ご感想・ご意見をお寄せ下さい。
→メールアドレス:redume@jcom.home.ne.jp
発行者 : 行政書士 田中 明 事務所
〒239-0822 神奈川県横須賀市浦賀5丁目42番11号
TEL・FAX 046−843−6976
マガジン説明用Webページ : http://lantana.parfe.jp/break1.html
内容証明郵便でブレイク! : http://lantana.parfe.jp/
インターネット法務支援室 : http://lantana.parfe.jp/seotope.html
-------------------------------------------------------------------
このメールマガジンは、『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/ を利用して発行
しています。解除は http://www.mag2.com/m/0000113282.htm