職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第82号
              [ 旧タイトル  内容証明郵便でブレイク! ]
                    平成22年8月25日発行
         職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

                      今回の目次
            □ 訪問販売と法定交付書面
               ☆ クレジット契約書だけがあればいいのか
               ☆ 法文上の文言について



  □ 訪問販売と法定交付書面

     ☆ クレジット契約書だけがあればいいのか
  訪問販売で法定交付書面の受領日は、クーリングオフの起算点となりますし、もし法定交付書面
を受領していないとすれば何時でもクーリングオフが出来ます。
もちろん、法定交付書面を受領していたとしても内容に不備があれば、いつでもクーリングオフが
可能なのは同様です。

  さて、改正割賦販売法では個別クレジット業者に法定交付書面の交付義務が定められました。
そこで、今日は訪問販売でクレジット契約を締結した場合、一体何通の法定交付書面が発生する
のかを整理してみます。
 
  特定商取引法では第4条で申込書面が、第5条で契約書面が法定交付書面と規定しており、
ただし申込を受けた際に売買契約又は役務提供契約を締結した場合には申込書面は要らないと
されています。

  次に、割賦販売法では第35条の3の9第1項でクレジットに関する申込書面が、同法第3項では
クレジット契約書が法定交付書面とされています。

  しかも、申込と同時にクレジット契約を締結した場合でも申込書面が不要とはなっていないので
す。  尤も、クレジット契約書というのはワンライティング方式ですから、1枚目が申込書で2枚目
がクレジット契約書になり大きな問題はありません。
  
  改正割賦販売法でクレジットの申込書面と契約書面の交付義務が個別クレジット業者の義務
として明記されましたが、交付の方法についてはこれまで通り訪問販売業者に委託する方法で
問題ないとされています。

  ここまでを整理しますと、訪問販売で申込と同時にクレジット契約を締結した場合には、売買契
約書、クレジット申込書、クレジット契約書の3つが法定交付書面として必要ということになります。

  ところで、私はこんな行政解釈を聞いたことがあります。
「クレジット契約書が特定商取引法上の法定要件を満たしていれば、特定商取引法上の法定交付
書面になるから、売買契約書は特に要らない」
 
  しかし、これは通達レベルの話でも何でもなく、要するに行政担当者のひとつの解釈に過ぎない
ようです。
  販売業者にとっては都合がいいように見えますが、売買契約書がないと裁判になったら不利に
なるのは明らかです。  やっぱり、売買契約書は交付するに越したことはないのです。


    ☆ 法文上の文言について
1 「特定顧客」とは何か
   特定商取引法第5条1項1号では、営業所等で特定顧客以外の者から申込を受け、営業所等
 以外の場所で売買契約又は役務提供契約を締結した時は、訪問販売から除くとされています。
   この「特定顧客」ですが、キャッチセールスやアポイントメントセールスで営業所等に連れて来
 られた顧客のことです。  特定顧客に該当すれば、営業所等で契約しても訪問販売として扱われ
 ます。 1988年の改正で追加されたものです。

2 割賦販売法上の文言は一般に馴染みのない用語が使用されていますので、日常的な用語に置
 き直して見ます。

 ・個別信用購入あっせん業者 
   →個別クレジット業者のことです。  クレジットカードを発行している業者は包括信用購入あっ
    せん業者になります から、クレジットカードを発行しないクレジット業者になります。
      
   ※ 個別クレジット業者も改正割賦販売法により経済産業省に登録が必要となり、また
    法人が要件です。
 

  

 ・個別信用購入あっせん関係販売業者、個別信用購入あっせん関係役務提供事業者  
   → 個別クレジット業者と加盟店契約を締結した販売業者のことです。

 ・個別信用購入あっせん関係受領契約 →個別クレジット契約のことです。

 ・個別信用購入あっせん関係販売契約、個別信用購入あっせん関係役務提供契約  
   →販売業者の販売が訪問販売など特定商取引法で定める形態で、個別クレジット契約を利用
    した販売又は役務提供契約のことです。

  なぜこのような用語を使用するのかよく分かりませんが、内容証明郵便では個別クレジット契約
 とか訪問販売業者と書いたとしても特に問題はないと思います。


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