職人型内容証明仕掛人の方法論 ! 第77号
[ 旧タイトル 内容証明郵便でブレイク! ]
平成22年2月1日発行
職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。
今回の目次
□ 根保証契約について
☆ 禁止された包括根保証
☆ 貸金等根保証契約とは
□ 根保証契約について
☆ 禁止された包括根保証
根保証とは現在の債務及び将来発生する不特定の債務を保証するものです。
かって保証額も保証期間も定めていない根保証、つまり包括根保証が
銀行取引の慣行として認められていましたが、
平成17年4月1日からこの包括根保証が禁止され、
根保証人の保証範囲は元本確定日までに発生した債務で
かつ極度額を限度とする範囲とされました。
平成17年4月1日の民法改正のポイントは、以下の通りです。
1 書面を作成していない保証契約は無効となりました。
→民法第446条2項
電磁的記録による場合も有効とされます。→民法第446条3項
※ 差入れ形式の保証書は→保証意思が外部に明確になっているので有効。
2 貸金等根保証契約が新設されました。
書面で極度額を定めていない根保証契約は無効とされました。
☆ 貸金等根保証契約とは
以下の3つの要件を満たした根保証契約を特に貸金等根保証契約といいます。
→民法第465条の2
・根保証契約であること
・主たる債務に貸金等の債務があること
・個人を保証人とするものであること
貸金等根保証契約の保証人は書面(電磁的記録を含む)で定めた極度額を上限として、
元本確定日に確定した元本とそれについて発生する利息・損害金等について
履行する責任を負います。
元本確定日以降に発生した主たる債務の元本については責任を負いません。
なお、元本確定日を定めるか否かは当事者の任意です。
しかし、定めなかった場合は契約締結の日から3年経過する日とされます。
また、5年を超える日を定めていればやはり3年経過する日とされ、
5年以内の日を定めていればその日が元本確定日となります。
→民法第465条の3
なお、以下の場合には元本確定日前でも元本が確定します。
→ 元本確定事由、民法第465条の4
・債権者が主たる債務者又は保証人の財産に対し強制執行又は担保権の実行を
申立て手続きの実行があったとき、
ただし取下げられると確定しません。
・主たる債務者又は保証人の破産手続開始の決定、
ただし取下げられると確定しません。
・主たる債務者又は保証人の死亡
保証人が信用保証協会のように法人の場合でも、
その保証人と個人が求償権保証契約を結んでいる場合なら、
その個人保証人は貸金等根保証契約に準じて保護されます。
即ち、 法人が結んでいる根保証契約に極度額や元本確定日の定めがなかったり、
定め又は変更に効力が生じない時は求償権保証契約の効力が生じません。
→民法第465条の5
根保証に関する平成17年(2005年)4月1日施行の改正民法は、施行日以後に
締結された根保証契約に適用されます。
施行日前に締結された根保証契約については、
経過措置が附則にありますので書いて置きます。
・貸金等根保証契約の元本が施行日から3年経過しても確定しないもの
→施行日から3年後の日が元本確定期日となります。
・既存の保証契約で極度額及び元本確定日の定めがあるが施行日から5年が経過
しても確定しないもの
→施行日から5年が経過した日が元本確定期日となります。
・既存の貸金等根保証契約は、施行後に元本確定日を先延ばしする変更は
出来ません。
・元本確定事由は施行後直ちに適用されます。
また、施行日前に元本確定事由が生じていた場合は施行日に確定事由が
生じたものと見なされます。
・保証人が法人の既存の根保証契約でその保証人と個人が求償権保証契約を
結んでいる場合、
その個人保証人の保証責任は基準日(施行日から3年又は5年が経過する日)
に主たる債務者が負担しなければならないことになる額を限度として負います。
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