職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第73号
         [ 旧タイトル  内容証明郵便でブレイク! ]
               平成21年10月18日発行
    職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

              今回の目次
          □ 会社の倒産と時効中断
              ☆ 清算手続きと法人格の存続
              ☆ 清算手続きの流れ



  □  会社の倒産と時効中断

      ☆ 清算手続きと法人格の存続
 清算人が行方不明であったり亡くなっていたりしていて、代位弁済日から15年も経過
していてまだ連帯保証人が一部弁済をさせられているというケースが時々あります。

 しかし、代位弁済日から5年以上経過しかつ主債務の時効が中断していなければ、
連帯保証人は主債務の時効援用が可能なのです。
そこで、今日は清算手続きと時効中断との関係を整理して見ます。

 清算手続きが結了していない内に、清算人が債務承認書をうっかり郵送して仕舞えば、
時効は中断しますし、清算人登記がされている場合なら支払督促が清算人に送達され
れば時効は中断してしまいます。 
  ※ 清算人登記がされていないと、資格証明書が取れず支払督促の申立が出来ない。
                        
 尤も債務超過の場合には清算人に破産開始決定申立の義務があり、破産管財人が
その事務を引き継いだ時は清算人の任務も終了します(会社法第484条1項)。

                        
 しかし、会社が同時廃止・免責決定を受けた場合は、清算手続が結了するまで会社の
法人格は消滅せず、当然清算人の任務は清算の結了まで続くことになります。
                        
 最近、同時廃止と法人格の関係を巡って高裁が二つの判決を下しました。 
原審では何れも同時廃止決定により法人格は消滅すると判断していましたが、

「同時廃止により残余財産がなかったと認められるとしても、清算手続きに移行し、
清算手続が結了していない以上、法人格は存続している」と判示しました。
    (名古屋高裁平成21年6月30日判決、名古屋高裁平成21年7月16日判決)

 以前から最高裁は「清算結了登記をしても重要な会社事務が未了である時は、
法人格は
消滅せず会社は存在する」(最高裁昭和36年12月14日判決)と
判示していました。
 登記は事実を公示する効力を有するに過ぎないからです。

  なお、会社の倒産後、登記が最後にあった日から12年が経過すると休眠会社とされ、
法務局が職権でみなし解散の登記をします(会社法第472条)。
しかし、みなし解散登記がされても清算結了までは法人格が消滅せず、清算人の任務が
継続します。
                       
 清算人の登記が済んでいる場合、早く清算手続きを結了させないと、清算人に債務存在
確認訴訟(連帯保証人に対する請求権を維持する点で確認の利益がある)が提起されて
時効が中断してしまう恐れがあります。
                       
 次に、破産開始決定の申立と連帯保証債務の関係です。

 破産開始決定の申立は、裁判上の請求にあたりますから主債務の時効が中断し、
連帯保証債務の時効も中断します。

 そして、破産免責決定が下りて主債務者が免責された場合でも、連帯保証人は免責され
ません(破産法第253条2項、 施行は平成17年1月)。

 連帯保証人が免責されないのは、民事再生手続き、会社更正手続きで主債務者が
免責された場合も同様です(民事再生法第177条2項、会社更生法第203条2項)。
                       
 次に、連帯保証債務の時効期間はどうなるかです。
・破産管財人が選任された場合 →破産債権者表に記載し確定された債権の時効は10年に
      伸長され、連帯保証債務も破産手続終了決定から10年の時効が進行する。
・同時廃止・免責決定の場合 →連帯保証債務は破産終了から新たなに5年の時効。
・簡易管財(債権確定手続をしない破産管財手続)の場合 →破産終了から5年の時効。
・なお、会社更正、民事再生の場合もやはり終了決定から5年の時効が進行します。
                        

     ☆ 清算手続きの流れ
 清算人が債権者からの督促に晒されたり、時効中断させられたりする危険から逃れ
たいと思ったら、清算手続きを結了させて法人格を消滅させるしかありません。

 清算手続きは大して面倒ではありません。 以下に流れを整理して置きます。
 ・ 清算人の選任 →定款に定めている人又株主総会で選任された人
              これらがない場合は解散前の取締役全員がなります。
                                     (会社法第478条)
 ・ 清算人の職務
    財産目録・賃借対照表を作成し株主総会の承認を受ける。
    債権を取立て、財産を売却し換価する。
    債権申出期間(2ヶ月以上)を決定し、債権者に催告する。
    債権申出期間後に債権者に弁済し、残余財産があれば株主に分配する。
        債務超過であれば →破産開始決定の申立をする。
        債務超過の疑いがある場合なら→特別清算開始の申立をする。
    決算報告書を作成し株主総会の承認を受ける。
    清算結了登記を申請する(株主総会議事録を添付)

      なお、会社解散と清算人就任登記の登録免許税は39000円、
          清算結了登記の登録免許税は2000円です。
      その他、司法書士に依頼すれば報酬が3万円程度掛かります。

 ※ なお、清算人には帳簿類及び清算に関する重要書類を、結了登記完了後10年間保存
  する義務があります(会社法第508条1項)。

                        

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