職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第70号
         [ 旧タイトル  内容証明郵便でブレイク! ]
               平成21年7月5日発行
    職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

              今回の目次
          □ 悪徳クイック・リース商法に対する対応
              ☆ 判例の変化
              ☆ まずは主張して見るべし



    □ 悪徳クイック・リースに対する対応

    ☆ 判例の変化
 民法の大改正までは、騙されてもユーザーはじっと耐えるしかないのでしようか。
しかし、リース契約の形態としては、ファイナンスリースが予定していないリース提携
販売が殆どで、中でも手続きを簡略化したクイック・リースが主流になっています。

  近年、クイック・リースにファイナンスリースと同じ法理論を当て嵌めるのは無理と
認識されて来たのか、クイック・リースのユーザーに有利な判決や通達が発せられ
るようになりました。 
                       
 それらを抜粋して以下に載せます。

1 長崎簡裁平成17年12月27日判決
  <IP電話機のリース提携販売で販売店に詐欺があったケース>
  「リース会社が販売店に契約締結の代理権を授権していなくても表見代理が成立し、
 リース会社が販売店の詐欺を知らなくても契約者は詐欺に基づく取消をリース会社に
 対抗出来る」

2 名古屋高裁平成19年11月19日判決
  通信機器のリース提携販売でリース会社は消費者契約法上の事業者とみなせる
 
と判断し、消費者によるリース契約の取消を認めた。
          
3 平成19年4月12日の特定商取引法の施行についての通達
  リース提携販売のように「契約を締結し物品や役務を提供する者」と「訪問して契約の
 締結について勧誘する者」など一定の仕組みの上での複数の者による勧誘・販売等
 であるが、総合して見れば一つの訪問販売を形成していると認められるような場合
 には、これらの複数の者はいずれも訪問販売業者等に該当する。

4 盛岡地裁遠野支部昭和63年5月18日判決
 <節電効果がない節電器のリース提携販売のケース>
  「重大な瑕疵についてまでリース会社が免責特約を主張するのは、信義則に反し許され
 ないというべきであり、ユーザーは賃貸借に準じて右瑕疵が補修されるまでリース料の
 支払いを拒み得るものと解するのが相当である」

5 福岡高裁平成4年1月21日判決
 <警備機器のリース提携販売、リース料に警備料が含まれているケースで警備会社が
  倒産したケース>
  「警備会社が警備業務を履行しなくなったときにも警備料の一部の支払を余儀なくさせる
 ことになることを知り或いは知り得べきリース会社が、ユーザーに残リース料相当損害金
 の支払を求めることは、通常のリース対象価額から算定される適正なリース料に相当する
 損害金を超える部分については信義則に反し許されないと解するのが相当である」

6 札幌地裁平成2年3月26日判決
 <小型電子計算機のリース契約の目的物件にソフトウエアも含まれるケース>
  「ソフトウエア引渡義務が履行されないときは、ユーザーからリース会社に対する既払
 リース料の返還請求は認められる」


   ☆ まずは主張してみるべし  
  今、ユーザーが騙されている多くは、リース提携の訪問販売のケースです。
上記の1〜3は、契約者がリース会社に対して、詐欺による取消や消費者契約法による
取消、特定商取引法のクーリングオフ及び取消が出来る場合があることを示しています。 

  従来の判例からすると画期的な進歩です。
その根底にある考えは、加盟店とリース会社の提携関係による一体性です。

  クレジット契約では支払い停止の抗弁が認められていますが、その根拠はクレジット
契約と売買契約の一体的な契約構造に求められていました。

  リース提携販売の場合も、リース契約と売買契約の間に同様の一体的契約構造があ
るのですから、本来リース契約にも支払い停止の抗弁が認められて然るべきなのです。
 
  ということで、私は販売店の悪徳な商法に騙されてリース契約を締結した場合、
詐欺による取消、錯誤無効、暴利行為による無効、及び信義則による支払い拒否を、
リース会社にまずは主張して見るべしと考えます。

  リース会社が販売店の悪徳を知り得べき場合、残リース料を請求することは信義則に
反するのですから、クレジット契約の支払い停止の抗弁と同様な効果つまり未払リース料
の免責を勝ち取るまで粘り強く交渉したいものです。


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